Asterisk 11 | ナツコのブログ

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にのちゃんが大好きです。
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フォ〇ストで2016年4月からアップしておりました大宮さんの恋物語の過去作です。

 

全編サトシ語りです。

 

毎日20時更新予定です。

 

楽しんでいただけたら・・・どぞ・・・♡

 

 

 

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けっこうな近い距離。

カズが元気になってから。

ここまで近づいた事はない。

肩が触れるくらいの距離。

俺を避ける素振りのないカズ。

そして。

一度だけ。

大きく息を吐いたカズは。

・・・。

・・・。

ゆっくりと。

俺へと体ごと向け。

そして・・・その琥珀色の瞳を。

少しだけ潤ませ。

俺に・・・言った。


「治っても・・・。」

「・・・。」

「・・・もう・・・誰もいないし・・・。」

「・・・。」

「僕は・・・一人だから・・・。」

「・・・。」


その・・・あまりにもか細い声。

まるで。

あの時触れたカズの鼓動のよう。

一人・・・と言うカズ。

その重みが心にささり。

さらに。

そんな事を考えていたのか・・・と思うと。

気付けなかった自分に自己嫌悪になる。

何百年もの昔に眠りについたカズ。

当たり前だけど・・・病気が治って命が長らえたとしても。

カズを知る人は今この世の中には誰一人としていない。

一人・・・の意味が。

重くのしかかる。


















「・・・だから・・・」

「一人じゃないよ。」


たまらず抱きしめた。

何の抵抗もなく。

俺の腕の中に収まる体。

柔らかくて温かくて。

そして・・・感じる重み。

触れた体から。

生命の鼓動を感じる。


「一人になんかさせない。」

「・・・。」

「俺がいるから。」

「・・・。」

「・・・カズ・・・。」

「・・・。」

「愛してる。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・ぇ・・・。」



ゆっくりと。

俺を見上げるカズ。

琥珀色の瞳が。

まん丸になっている。

驚いた顔をしている。

当たり前だ。

いきなりの告白で。

俺もちょっと・・・自分で言って。

びっくりしている。
















「カズ・・・俺・・・」


言葉の途中でカズは。

ぱっと・・・俺から離れて。

そして。

さっと・・・立ち上がり。

たたっと走って。

トレーニングルームを出て行ってしまった。

変圧室でも・・・こちらに背を向け。

そして。

・・・。

・・・。

行ってしまった。

・・・。

・・・。

今のは。

うん・・・ちょっとまずかった。

 

へこむ。

どうして言ってしまったんだろう。

いや・・・言うとか言わないとか。

そんな事何も考えられなくて。

思いが口から零れてしまったんだ。

告白は・・・アスタリスクについてからでもよかったんじゃないか・・・と。

悔やまれる。

もしも。

俺を・・・受け入れてもらえなかったら。

ずっとこの一緒の船内で。

残り数か月。

どれだけ気まずい思いをカズにさせるか考えてなかった。

軽く頭を抱える俺。

こんな風に・・・言葉がこぼれたのは初めてだ。

そんな自分にびっくりしているけど。

でも。

・・・。

・・・。

寂しそうなカズ。

一人じゃない・・・と。

そう・・・伝えたかった。

俺がいるよ・・・と。

一緒に生きて行こう・・・と伝えたかったんだ。

でも。

それは今のタイミングじゃなかったような気がする。

せっかく・・・カズが俺を頼って本心を打ち明けてくれたのに。

欲しい言葉を与えてやれず。

見当違いの・・・自分勝手な伝えたい事だけを口走ってしまって。

カズの心をはらすどころか。

またもう一つ・・・思い悩む材料を与えてしまった。















これは。

・・・・。

・・・。

みんなに知らせた方がいいだろう。

気まずい思いとか。

不自然な態度とか。

この・・・小さなガイア5の中で。

こういう隠し事をすると不信感につながる。

伝えよう。

・・・。

・・・。

でも。

明日は大事な・・・ジュンの船外活動の日だ。

これが終ったらみんなに伝えよう。

言っておこう。

でもじゃあ・・・なんて伝える?

俺は。

それを思うと・・・いっそうへこんでしまって。

そして。

トボトボと。

自分の部屋へと戻っていた。








つづく