僕らの日々 34 | ナツコのブログ

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にのちゃんが大好きです。
かわいい大宮さんを愛でております。
大宮さんのお話(腐です///)なども書いております///♪

ヘッダーアイコンはあみんさんよりお借りしております♡

 

 

大宮さんの恋物語です。

 

毎日20時更新予定です。

 

劇中劇の告白シーンです///。

 

ではでは・・・どぞ・・・。

 

 

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Side.N





傘をさしていても・・・濡れるのを避けられないほどの雨の中。


気温が少し下がったのを感じながら走る。

水滴が顔を打つ。

走るスピードが少し早いかも・・・と思ったけど。

気が急いて足を緩めることができない。

水たまりをよけきれず・・・派手に水しぶきをあげてしまったけどそのまま走る。

カメラさんがいるであろう位置で・・・大きく傘を傾け横顔が映るようにし。

そのままのスピードで角を曲がると。

向こうに。

おーのさんがいた。

















少しだけ走り寄り・・・でも距離を置いて荒い呼吸のまま立ち止まる僕。

傘のないずぶ濡れのおーのさん。

黒いパーカーにジーンズ。

キャップを目深にかぶり。

両方のポケットに手をつっこみ前かがみで立っている。

でも顔は下げてなくて。

ずっと・・・きょろきょろと周りを見ている。

ずっとずっと・・・あちこち見て。

後ろも見て。

僕を・・・ずっと。

ずっと探している。

実は。

おーのさんがどんな演技をするのか僕は知らなくて。

だってこのシーンは台本が白紙だったから。

だから。

こんなに・・・僕をずっと探しているなんて。

そんなの。

知らなかった。

ぎゅっと。

傘の柄を持つ手に力がこもる。












しばらくして。

きょろきょろしていたおーのさんが僕を見つける。

キャップから滴り落ちる水滴。

目を細め・・・降る雨を邪魔そうに見ながら。

雨でけぶる向こうで。

僕を見つめるおーのさん。

そして。




  好きだっ!




雨でかき消されそうになりながら・・・も。

おーのさんが大声で好きだと叫んだ。



  好きだぁっ!



また叫ぶ。

大声なのに・・・まるで歌っているかのように艶やかなぴんと張った声。

最後の「だ」・・・に。

かすかなビブラートがかかり。

雨にも負けずに声の余韻がちゃんと届く。



 好きだっ!


声が心にまっすぐ届き。


ふる・・・っと体が震え。

 

胸元の服を・・・きゅっとつかんだ。

まるで・・・本当に告白されているみたいで。

全身の皮膚に鳥肌が立つ。

寒さなんかじゃない。

僕は・・・おーのさんの声に震えている。
















雨が・・・一瞬強く横殴りになる。

風で傘が飛ばされそうになり・・・ぐっとつかむ僕。

同じ風に。

煽られ・・・顔をふいっと背けたおーのさん。

その拍子にキャップが飛んだ。

でも・・・拾いにもいかず。

ぐいっと・・・髪を。

濡れた前髪を乱暴にかき上げ。

そのまま僕を向いて。

もう一度。



  好きだっ! 



と叫ぶ。

さっきよりも表情がしっかりと見える。

目を細め眉を寄せ。

でも僕から目は背けない。

まるでその瞳で。

思いを伝えるかのよう。


  
  ・・・好きなんだ・・・



切なさの混じるおーのさんの声が胸に突き刺さり。

じんわりと・・・涙ぐむ僕。

台本にはないけど。

感情が高ぶり涙が溢れる。

だって何回も言うから・・・。

・・。

・・・。

もう。

走り寄りたい。

でも・・・スタッフさんのゴー待ち。

まだ。

おーのさんには近づけない。




















  好きなんだっ!


一瞬。

おーのさんの手が僕に伸びた。

思わず。

引きよせられるように一歩。

おーのさんへと近づく僕。

何度も繰り返される心の叫び。

思いが僕の心にどんどん蓄積され。

溢れてこぼれそうで苦しい。


ねぇ・・・まだ?


まだ近づいちゃダメなの・・・?



  好・・・きだ・・・!



おーのさんの声がかすれた。

・・・と目の端で。

スタッフさんの・・・ゴーのサインが見えた。

瞬間・・・スピードをいきなりトップギアに入れて走り出す僕。

傘は高く放り投げた。

雨が強く顔を叩く中。

早く早く・・・と。

おーのさんへとまっすぐ走る。

 

あと少しで届く。

 

僕は・・・そのままスピードを緩めず。

 

まばたきもせずに僕を見つめるおーのさんに。

 

ぶつかるようにして体を預けた。

それなりの衝撃があったろうに・・・後ずさりもしないおーのさんが。

しっかりと僕を受け止め抱え。

ぎゅっと抱き締めてくれる。














僕もその背に腕をまわし抱きしめる。

しばらくして・・・おーのさんの腕が緩むから。

僕は顔を上げ・・・二人見つめあった。

降りしきる雨が邪魔なはずなのに。

微動だにせずにまっすぐ僕を見つめるおーのさんの強い瞳。

その瞳に・・・まるで焼かれるように心の奥が熱くなり。

はぁ・・・と吐いたかすかな白い息がおーのさんの唇をかすめた。

そのまま・・・降る雨に溶けるようにして二人・・・一体化していき。

何の合図もなしに・・・互いに自然と体を寄せる。

 

すると・・・ぐいっと。

僕の後ろ頭におーのさんの手がまわる。

すっぽりと。

とても大事なモノのようにして抱え込まれる僕の頭。

と同時にそっと抱き寄せられる背。

まるで・・・僕の全部を雨から守るかのよう。

心地いい腕の中・・・すべてがシャットアウトされて。

 

一瞬の無音。

 

ただ感じるのは。


おーのさんだけ。

 

・・・。

 

・・・。
 

・・・おーのさん・・・。

 

優しいね。

 

・・・。

 

・・・。

その背にまわった僕の手が。

おーのさんの服をぎゅっと握ったところで。



  カット!



監督の大きな声が聞こえた。



 

つづく

 

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劇中劇の告白シーンは以上となります///。

みなさんがお選びいただいたシーン。

大事に大事に書かせていただきました。

ご期待に添えているかしら・・・と。

ドキドキしております///が。

アンケートにご参加くださった方々も。

参加したかったけど間に合わなかったの(ノ_<)・・・の方々も。

本当にありがとうございました。

続く二人も・・・見守っていただけたら嬉しいです♡

 

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