大宮さんの恋物語です。
こちらは続編です///。
本編はこちら→「バレンタインのお話(仮)♡1」です。
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小学校に到着すると。
二人で・・・閉まっていた正門から・・・中をのぞき込んだ。
すぐそこに下駄箱が見えて。
でも・・・俺達が通っていた頃から比べるとキレイになっていて。
改装されたんだね・・・と和と話した。
さらにはその奥に見える廊下のタイルも・・・色が変わっていて。
すごくキレイな色になっていて。
そこも変わったんだと気づく。
校庭や体育館はそこからは見えなくて。
確か・・・裏門から見えたよな・・・と思い出し。
和と二人・・・学校の塀沿いに裏手へと進んだ。
その間も・・・懐かしい景色が広がる。
通学路だ。
一か所・・・歩道に大きな木があって。
そこを通るためにガードレールの外を通らなくちゃいけない場所があったんだけど。
もう木は切られていて切り株もなかった。
「ここ。小学校の隣のここの家・・・俺の友達の家だったんだ。」
「へぇ・・・。」
「学校のさ。始業のチャイムが鳴り始めてから家を出ても間に合う距離だって・・・いつも自慢してたんだよ///。」
「・・・ぅん。」
「でもさ。友達と下校するって言う楽しみがなくて・・・って。」
「・・・。」
「ちょっと寂しそうにしてたな。」
「・・・わかる気がする。」
懐かしいことを思い出す。
それにしても・・・この壁。
こんなに低かったっけ・・・と。
自分が大人になったことに気づき・・・なんとも言えない感覚になった。
裏門も・・・予想通り閉まっていて。
でものぞき込むまでもなく。
すぐそこに体育館が見えた。
校庭は・・・体育館の向こうだから。
ここからは少ししか見えない。
それでも。
「懐かしい・・・。」
「な。体育館。変わってないな///。」
「すごい古いよね///下駄箱やタイル変える前に体育館建て直さなくちゃいけないんじゃないの///?」
「俺もそう思う///。」
それほどの老朽化。
壁にはひびが入り・・・色が剥げている部分もある。
窓ガラスの鉄の格子柵は・・・部分的に腐り・・・欠けているところもあった。
「見えないね・・・体育館の裏。」
「向こう側だもんな。」
「ね。」・・・と言いながら俺を見る和が。
一瞬・・・幼い頃の和と重なって。
あの頃に戻ったのか・・・と錯覚する。
それほどの・・・無防備な表情。
こんな顔を・・・普通に俺に見せる和が。
・・・愛おしい。
和は・・・体育館に夢中だけど。
俺は。
体育館に夢中の和に・・・夢中だった。
「何か御用でしょうか?」
「ぇ///。」
急に・・・突然降ってきたかのように。
裏門の向こう側に人が現れた。
40代前半くらいの年齢。
明らかに学校関係者。
多分・・・不審に思っての声かけなんだろうけど。
その声音と表情からは・・・威圧的な感じは受けなかった。
多分・・・いい人。
ぁ。
もしかして・・・教師?
それなら・・・。
「すいません・・・俺たちここの卒業生で・・・。」
「ぁ・・・そうなんですか。」
「はい。ちょっと懐かしくて見てただけで・・・」
「あれ?もしかして・・・二宮君?」
「・・・ぇ・・・///。・・・ぁ。あ~!!先生!?」
「やっぱりそうだ///二宮君だ。いや~全然変わってないね///。」
「先生はちょっと変わりましたね///一瞬わからなかったし///。」
「歳とったからね///。」
聞けば・・・この人はこの小学校の教師で。
なんと・・・和の担任の先生だったんだ。
素性が知れたからか。
先生は門を開けて俺たちを中へと入れてくれた。
そして・・・なんと。
老朽化した体育館の奥にできていた新しい体育館を見せてくれた///。
「やっぱそうですよね///なんで体育館建て直ししないんだろうって今僕たち話してたんですよ///。」
「いや真っ先に建て直すでしょ///こんな危ない建物///。」
「じゃあなんで取り壊ししないんですか?」
「予算とかいろいろあってね///ちょっと放置されてたんだよ///。でも今年の夏に解体工事が決まったんだ。」
「今年の夏・・・。」
「そう。だから見納めだよ。間に合ってよかったね。」
「・・・。」
見納め。
そういわれると・・・やっぱりちょっと寂しい感じがする。
全校集会や卒業式の思い出がつまった体育館。
さらには・・・和と2人で話した体育館裏。
・・・間に合ってよかった。
2人でまた。
ここに来られてよかった。
和も・・・同じこと思ったのか。
チラ・・・と俺を見て。
その瞳が・・・ちょっと寂しそうに揺れていた。
その後は・・・応接室に招かれ。
お茶を出してくれて・・・三人でいろんな話をした。
俺の代の卒業アルバムを持ってきてくれて。
見ると・・・和が言うように眉根を寄せ少し困った顔をしていたから。
和と目を合わせ。
クスリと笑ってしまった。
「大野君ね。よく覚えてるよ。」
「・・・え。ホントですか?」
「ああ・・・よく覚えてる。1年生から6年生までずっと・・・絵画コンクールで入賞した子なんていなかったから。」
「・・・///。」
「そう・・・なの///?」
「そうらしいね。今言われて思い出した///。」
「かけっこだけじゃなかったのね。あなたの特技。」
「///。」
そう言えば・・・そのことで担任の先生に褒められて嬉しかったこと。
思い出した。
そっか・・・俺。
6年までずっと・・・入賞してたのか///。
あの絵たち。
どこいったんだろう・・・。
「それにしても・・・二宮君。こうしてまた会えて・・・本当に嬉しいよ先生は。」
「・・・///。」
「気にしていたんだ。とても。君のことを。」
「すいませんでした・・・突然だったから・・・引っ越し。」
「いや・・・それもそうだけど。それだけじゃなくて・・・。」
「・・・?」
「・・・いや・・・。」
チラ・・・と。
言いにくそうにして俺を見た先生。
あ・・・なんか。
俺が聞いちゃまずい話なのかな・・・と。
そう悟って。
じゃあトイレにでも・・・と立ち上がろうと思ったら。
和が言った。
「先生?僕この人に隠し事何もないので。話してもらって大丈夫です。」
「・・・ぇ。ホント?大丈夫・・・?」
「大丈夫です。全然。」
「そっか・・・まあ・・・うん。小学生の頃の話だからね。話しても・・・いいかな。」
「・・・はい。」
俺は。
何を聞かされるのか・・・と。
少しドキドキしながら。
ちょっと腰を浮かせ・・・座りなおした。
つづく