本日から始まります大宮さんの恋物語です。
久しぶりの長編なのでちょっとドキドキしていますが。
楽しんでいただけたら嬉しいです♡
嵐さんのとある曲をモチーフにしております。
タイトルは7話時に変更させていただきますね。
毎日20時up予定です。
ではでは・・・どぞ・・・。
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Side.O
アンコールを終え。
ギリギリまで客席に手を振った後。
舞台裏へと階段を下りていく。
汗がまだひかない中。
ぺたつくシャツを剥ぐように脱ぎながら・・・小走りになる俺。
片方の腕が裏表ひっくり返ってしまって。
元に戻そうとしたけど・・・上手く手が入らずあきらめ。
軽く・・・頭をさげて衣装さんにシャツを手渡した。
今日はこの後。
人と会う約束をしている。
とはいっても・・・遊びではなくて。
半分・・・いや半分以上が仕事だった。
「あれ?智君・・・急ぎ?」
「・・・ぅんっ・・・そう。お疲れさまね・・・翔君。」
「おつかれさま!明日の入り時間!変更になってるから気を付けてね!」
「OK!」
何時に変更になったんだっけ・・・と。
考えながら・・・シャワールームへと向かい。
歩きながらベルトを外し・・・そして素っ裸になり頭からシャワーを浴びる。
でも。
結局・・・明日の入り時間を思い出せなくて。
・・・まあいいか。
あとで確認すれば。
とにかく急いで。
俺は・・・全身を洗うとシャワールームを出た。
車の後部座席に乗りこむと。
すぐに・・・マネージャーが発進させる。
「道が少し混んでるので・・・20分くらいかかると思います。」
「・・・ん。連絡いれとく。」
「・・・少し眠りますか?」
「・・・ん~・・・いや。あんま眠くないんだよね。今。」
「まあ・・・ライブ直後じゃあ・・・心身共に昂っていて無理ですかね。」
「ん・・・そうだね。大丈夫。寝ない。」
「今日・・・遅くなりそうですか?」
「・・・どうだろ。」
「明日ライブ最終日なので・・・ほどほどに・・・」
「あ・・・明日。入り時間変わったって?」
「ああそうです。変わりました。明日は・・・」
そう・・・今日は。
東京3daysの中日。
普通はそんな日に・・・人と会うような飲みの席を設けないんだけど。
今日は特別だった。
監督ともう一人と俺。
なかなか三人の都合が合わなくて。
でも・・・やっと今日都合が合って。
それで・・・遅い時間になってしまったけど・・・会うことになった。
窓の外を見る。
ツアーバックを抱えたたくさんのファンの子が。
横断歩道を渡っているのが見えた。
楽しんでもらえただろうか。
俺と・・・翔君の二人のステージを・・・。
突然。
ふるる・・・とスマホが震える。
翔君からのライン。
明日の入り時間が書いてあって。
間違えないでよ!・・・と言葉が添えてあった。
こういうところ・・・さ。
まあ・・・長い付き合いで。
ホント・・・頼りになる。
ありがとう・・・と送信し。
また・・・窓の外をぼんやりと眺めていた俺に。
マネージャーが話しかけてきた。
「それにしても・・・やっぱりあのソロコラボは好評ですね。」
「・・・そう?」
「ええ。櫻井さんのピアノと大野さんのダンスのコラボ。毎回SNSで盛り上がってますよ。」
「そう・・・///。」
「ダンス。毎回違うのがすごいって。」
「違うって言うか・・・その場で感じたことを踊ってるだけなんだけどね。」
「そこですよ。即興なのに毎回ちゃんと完成されてるのがすごいって。」
「・・・。」
「リハなしですしね。」
「・・・ぅん・・・。」
俺と翔君は。
うちの事務所ではめずらしい二人組のユニットだった。
ユニット名は「ベルク」。
ドイツ語で「山」という意味らしい。
最初からちょっと・・・俺たちは事務所的には異色で。
がっつり二人で組んでいろいろやる・・・という感じではなくて。
どちらかと言うと個々の活動の方が多かった。
とはいえ・・・いわゆる冠番組的な物を持たせてもらっているから。
翔君とは少なくとも隔週で会ってはいる。
けっこう二人の意思を尊重してくれていて。
まあ・・・わりとそれぞれ自由にさせてもらっているし。
こうして年に一度・・・コンサートもさせてもらっている。
翔君はキャスターを中心に・・・大型の音楽特番の司会進行や。
なんと・・・オリンピックのメインキャスターなんかもやらせてもらっていて。
ホント・・・そういうところは尊敬する。
俺は。
どちらかというと・・・趣味の延長みたいな感じだけど。
描いた絵とか・・・作った作品の個展をやらせてもらったりしていた。
働き者の翔君と比べると。
どうにも・・・マイペースな俺だけど。
まあ・・・その辺は。
事務所には多めに見てもらって・・・。
とにかく二人・・・いい感じでやってきていた。
つづく