こんばんは。
今日は聖夜・・・まーくんのお誕生日ですね。
「ナツオのブログ」ではぴば記事を書かせていただきましたので。
お時間ございます方は・・・お立ち寄りいただけたら嬉しいです///。
そして。
日曜21時ですね。
今夜が最終回です。
終わりとなると・・・寂しいですね。
長きのお付き合いをありがとうございました。
では・・・どぞ。
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約束の。
フローライト採掘現場へやってきた。
必要最小限の明かりをつけ。
やつらを待つ。
今夜は厚い雲で月が隠れている。
明かりから少し離れれば完全な闇。
オレンジの薄明りの中に浮かぶショベルカーや鉄塔。
昼間とは違いその冷ややかさを際立たせている。
ノコルが0時に約束してくれたおかげで。
時間ができた。
準備はほぼ整っている。
三流テロ組織とはいえ・・・だからこその怖さもある。
何をするかわからないから・・・万全の準備が。
どう転んでも俺たちが勝つ準備が・・・必要だった。
一番の目的はフウマの奪還。
そして・・・テロ組織の目的を知り。
さらに・・・いるなら主犯を引っ張り出し。
二度とこんなことを起こさないように・・・テロ組織を壊滅させる。
それらを・・・ノコルの身の安全だけでなく。
尊厳も守りながら戦う。
必要なのは。
体術や銃の腕だけではなく。
交渉術。
俺は。
脳内でいくつかのシミュレーションを再度行い。
時折強く吹く風の中。
風よけになるように・・・とノコルのそばに立っていた。
隣のノコルは。
やつらが来る方向・・・電話をかけてきた奴がいたバルカ市内の方向を・・・じっと見つめている。
手にスマホを持ったまま。
足を軽く開き・・・腕を組み。
静止画か?ってくらい・・・微動だにせずに。
ただじっと・・・向こうを見つめている。
数分が過ぎた頃。
ノコルが・・・前を向いたまま。
声を発した。
「黒須。」
「はい。」
「フウマは。無事だよな。」
「無事です。」
少しか弱いノコルの声に。
俺はかぶせるように言葉を発した。
もう・・・ずいぶんと長くノコルと一緒にいるから。
かなり・・・ノコルのこと。
わかるようになってきた。
こんな・・・弱気を見せるノコルに必要なのは。
圧倒的な肯定。
もしかしたら・・・の話なんて言う必要ない。
「もしフウマに何かあったら。」
「・・・。」
「全員殺す。」
「大丈夫ですよ。フウマは無事ですから。」
「・・・。」
わざと明るい声を出して言う。
チラ・・・と。
俺を横目で見たノコル。
その不安そうな顔を見て。
ぎゅっと心が痛む。
軽くとがった唇。
きゅっと寄った眉根。
風で揺れる長い髪。
オレンジの薄明りの中にいるノコルは。
こんな時も・・・気高く美しい。
「来た。」
まだ。
俺が確認できる前に・・・ノコルが言う。
そこから数秒で。
暗闇の向こうに蠢く明かりが見え。
さらにそこから数秒後に・・・ぶぉん・・・と車の音が聞こえてきた。
いよいよだ。
懐の拳銃に触れて・・・確認する。
もしもの時のために・・・足首のあたりにも拳銃が一つ。
腰には煙幕弾もぶら下げている。
ノコルにも銃は持たせているが。
できれば使わせたくない。
これまで・・・テントのみんなが守ってきたノコルの白いデールを。
俺が汚させるわけにはいかないんだ。
しばらくして・・・近づいてくる光と音。
少し離れたところで止まった2台の車。
そこから降りてくる人影。
明かりの元へきて・・・やっと人数がわかる。
昨日俺達を襲った人数と同じ・・・覆面が5人。
ロ シアのテロ組織で間違いないだろう。
そして・・・フウマが引きずられるようにして・・・一緒に歩いてくる。
「・・・フウマ・・・。」
俺の隣で聞こえたノコルの小さな声。
顔を見ることができて思わずこぼれた安堵。
俺も。
フウマの生存を確認できて・・・まずは安心する。
膝まづかされたフウマ。
頭には銃が突き付けられている。
殴られた跡が顔にあって・・・痛々しい。
ノコルも・・・じっと・・・フウマを見て。
一度小さくうなづいてから。
殺せそうなくらい強い視線を・・・やつらに向けた。
口火を切ったのはノコル。
先手を打ち・・・会話の主導権を握るのは交渉の鉄則。
そう教育を受けたのか・・・ノコルの性格がそうさせているのかはわからないけど。
質問を始めた。
「目的はなんだ。」
「・・・フローライト。」
「採掘権が欲しいのか?」
「・・・この土地をよこせ。」
「大きくでたな。もちろん断る。」
「奪うこともできる。武力でな。」
「お前らの組織の規模は知ってる。ここを奪えるほどの力はない。」
「でかいバックがいるんだよ。俺達には。」
「・・・ロ シア国か。」
「・・・まあな。」
「戦争になるぞ。」
「知るか。」
「・・・武力で奪うつもりなら。なぜ俺達をここに呼んだ?」
そう。
ここが重要なところだった。
武力行使ができるのなら・・・奪えばいい。
もちろんそう簡単にこの土地は渡さないけど。
彼らが言うように・・・ロ シア国がバックについていたら。
バルカとロ シアでは国力も戦力も大人と赤子くらい違うから。
本気で来られたらあっと言う間にやられる。
世界からは非難されるだろうけど。
あの国はこれまでも・・・こういうことを行ってきた前科がある。
本気でやるつもりなら。
やるだろうに。
どうして。
俺達とコンタクトを取ろうとしているのか。
そこが・・・知りたい。
合法的に・・・採掘権か利益を回せと言うつもりなのか。
いずれにしても。
ロ シアと手を組むつもりはないけど。
「この方の意向でな。」
奴らが言うと。
奴らの車から・・・一人降り立つ人物。
俺は。
俺とノコルは・・・その人物を見て驚くと同時に。
すべてにおいて・・・納得がいった。
少し予感はあったけど。
まさか本当に・・・。
黒幕がこいつだったとは。
→黒幕は・・・誰・・・?
つづきます