大宮さんの恋物語です。
プロローグがございますのでこちらからどぞです///。
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Pretender~プロローグ1 | ナツコのブログ (ameblo.jp)
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ではでは・・・どぞ///♡
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Side.O
今日は遅番の俺。
店長が夕方に帰り・・・そこからキッチンは俺一人になる。
ここは町のケーキ屋「BLUE」。
小さいスペースだけどイートインもできるから。
店内にお客さんがまだいる。
バイトの子数名が・・・接客と販売をしてくれていた。
もう。
今日の分のおおかたの仕事は終わっているから。
俺は店にはいるけどほぼほぼ自由時間。
秋の限定スイーツを考える時間にあてる。
・・・つもりだったけど。
考えるのは。
彼・・・のことばかりだった。
昨夜のこと・・・思い出そうとしているけど。
それだけじゃなくて。
今朝の・・・一緒に過ごした時間とか。
あの一瞬の笑顔とか声とか。
そういうの・・・思い出している。
不思議と・・・昨夜のあの泣き顔は思い出されなくて。
・・・ああ・・・思い出さないようにしているのかもしれないな・・・。
チラ・・・と。
壁にかかっている時計を見る。
いつ・・・電話しようか・・・と迷う。
休みだって言ってた。
スマホを見て。
でも・・・仕事終わってからにしよう・・・と思ってポケットにしまった。
もう。
新作を考えようとか・・・そんな気にもならない。
「大野さん。」
「・・・ん?」
「お誕生日のプレート・・・お名前書くのお願いしてもいいですか?」
「ああ・・・いいよ。」
バースデーケーキ。
女の子の名前だったから。
プレートの周りに・・・花を添えて・・・真ん中に名前を書く。
出来上がりを見たお客さんが・・・嬉しそうな笑顔になっていて。
ほっとする。
「大野さんて器用ですよね。」
「・・・そう?」
「店長もそういうの・・・上手いなって思ってましたけど。ああいう細かい細工とか・・・大野さんホント上手いですよね。」
会計を済ませたバイトちゃんが。
手を洗いながら俺に言う。
俺は。
ありがとう・・・と小さく言った。
前から・・・言われていた。
器用だって。
ホテル勤務の時も。
飴細工とか・・・ホイップのサイズをきっちりそろえるのとか。
そういうの・・・すごく褒められていた。
技術あるよねって・・・言われていた。
でも。
ここへきて。
ケーキ屋へ来て。
今年の春に・・・それなりの自信を持って手掛けた新作が。
思ったよりも売れなくて・・・落ち込んだことを思い出す。
イチゴを使ったタルト。
見た目はキレイで・・・細工も凝ってるから。
最初は売れるんだけど・・・リピーターが少なかったのが売れなかった要因。
味は悪くない・・・店長にもおいしいって言われたし。
値段だって・・・がんばって抑えたはずなんだけど。
店長が作った通常のノーマルなイチゴのショートケーキは完売するのに。
毎日少しずつ売れ残る俺のイチゴのタルト。
最後の数日は・・・作る数を控えめにしたことも思い出される。
それでも店長は何も言わず。
この秋に・・・また任された新作1つ。
なんとか・・・売れて欲しい。
何を作ろうか。
どうしようか。
まだ・・・決めかねていた。
店を閉めて。
外へ出る。
歩きながら電話しようかと思いながらも。
家でゆっくりの方がいいか・・・と思い直す。
でもお腹がすいている。
何か食べてからの方が・・・。
いやそれだと待たせすぎか?
でも俺が落ち着かなくて・・・。
って言うか俺。
どれだけ話すつもりなのか。
今日の電話は。
次の約束を取り付けるためだし。
あの・・・今朝別れた様子からだと。
電話での話が弾むとは思えない。
聞きたいことはあるけど・・・それは会ってから。
だから。
かけるなら・・・今。
俺は。
一瞬躊躇したけど・・・でも。
歩きながら電話を掛けた。
.
つづく