大宮さんBL物語です。
苦手な方はご注意を・・・。
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大野さんの新居につく。
まあまあな距離タクシーに乗って。
さすが・・・金持ちだよね。
窓から海が目の前に見えるマンションの最上階。
夜間飛行なのか・・・灯りをともした飛行機が。
海の上を飛んでいるのが見える。
部屋の中は・・・かなりひどい有様で。
廊下にも部屋にも段ボールの山。
まだ・・・何も片付いていないことに驚きつつ。
でもこの人らしいな・・・と思う。
リビングの隅には開かれたままの大きなスーツケース。
明日から海外旅行へ行く大野さん。
場所はどこか知らない。
「これ・・・大丈夫なの?」
「何が?」
「荷造り。あなた苦手じゃないこういうの。」
「・・・ぅん。」
「って言うかさ・・・全然できてないじゃん荷造り。明日出発でしょ?」
「・・・ん。」
「・・・手伝う?」
「頼む。」
もしかして。
このために俺を家に呼んだのかも・・・と。
そう思うくらいのかぶせ気味の即答。
ちょっと複雑な心境だけど・・・でも。
それでも。
こんなことでも。
この人が俺を必要としてくれていることが・・・嬉しくて。
俺も相当だな・・・と。
苦笑いをした。
出かけるのはインド。
明日の夕方の便で飛び立つらしい。
現地の気候とか・・・文化とか宗教とか。
さらっと調べて。
そこから持っていく服を選ぶ。
段ボールから服を出してはスーツケースに入れる。
常備薬とかは・・・いつもこの人が持っていくものを知っているから。
それを入れようとしたんだけど。
薬を入れた段ボールが見つからなくて探す。
寝室にも段ボールがあるって言うから・・・寝室に入って探す。
今朝・・・多分起きたまんまのベッド。
少し乱れているベッドに・・・目のやり場に困りながらダンボールを開け探す。
でも薬が見つからなくて。
探すのに・・・けっこう時間がかかってしまって。
結局・・・薬は明日行く途中で薬局で買うってことにして。
荷造りが終わった頃には・・・もうすっかり酔いは冷め。
時間もかなり深くなっていた。
まだ電車はあるだろうけど。
最終電車の時間を調べる気にはなれない。
どうせお金を渡されてタクシーで帰れって言われるんだろう。
今までのように。
「ありがとう。助かったよ。」
「・・・どういたしまして。」
冷蔵庫からビールを出してくれる大野さん。
まだほとんど何もそろっていない部屋だけど。
冷蔵庫とレンジは置いてある。
空調は・・・備え付けかな?各部屋にあるみたいだった。
帰れとは言われない。
まだ大野さんとの時間が続くことに。
若干の嬉しさを感じる。
1本目は・・・さっさと飲み干した。
喉が渇いていたせいもあるけど・・・でも。
あまり会話がなくて。
それで・・・飲むピッチが早くなる。
2本目を飲んでいる最中に。
酔いを自覚する。
下地があったのと・・・早いピッチ。
それから・・・新居で大野さんと二人でいるって環境が。
ちょっと緊張して・・・それでかな・・・と。
まだ冷静に分析はできていた。
余裕は・・・少しあったと思う。
そんな時だった。
大野さんから・・・言われたのは。
「俺さ・・・。」
「・・・はい?」
「お前のこと・・・考えた。」
「・・・え?」
「会社辞めるってなってさ・・・。」
「・・・。」
「そん時。」
「・・・。」
「お前のこと一番に考えたんだ。」
「・・・。」
考えた・・・がどういう意味なのか。
真意が読み取れない。
でも・・・「一番」と言われたことに。
浮かれそうな自分がいて・・・でもその気持ちを押しとどめる。
「考えた」・・・とは。
俺が思うような・・・嬉しい意味ではないはず。
多分きっと。
会社を立ち上げた俺への。
罪悪感でしょ。
「まあ・・・そもそも会社立ち上げの言い出しっぺは俺だったしね。」
「・・・。」
「でも・・・別に恨んでないし。」
「・・・。」
「俺はどこでも平気だしね。」
「・・・。」
「どんな会社でも・・・仕事だってなんだって・・・」
「ちげぇよ。」
「・・・。」
ぴしっと言われ。
言葉が止まる。
じっと見つめられ。
何か・・・空気が変わるのを感じた。
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つづく
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ありがとうございました。
毎日20時更新予定です。
楽しんでいただけたら・・・。
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