あちらの「Hit the floor」本日更新いたしました///。
大宮さんのBL物語です。
苦手な方はご注意を。
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俺は・・・トイレから出ると。
冷蔵庫からサイダーを出して。
それを持ったまま・・・和君の隣。
かなり距離をあけて座った。
和君はスマホをいじっている。
ペットボトルのキャップをきゅっとひねると。
プシュッと・・・炭酸が抜ける。
それに気づいた和君が顔をあげ。
コクンと俺がサイダーを飲むのを見つめる。
そして。
「一口ちょうだい?」
そう言うからすっと渡した。
コク・・・と上を向いて飲むそののけぞる喉元に。
また目を奪われ。
ひきはがすようにして目をそらした。
「翔ちゃんとまーくんにLINEしたの。採用されたよって。」
「・・・そう・・・。」
「あ・・・もう来た返事。フフ・・・おめでとうだって///。」
「・・・。」
嬉しそうに俺に画面を見せる和君。
すっとナチュラルに近づかれ。
ふたたび和君の熱を感じ。
今日何度目かのドキドキが俺を襲う。
すすっと指をスライドさせ。
返事を打っている和君。
グループラインで。
相手の名前が「なで肩」と「汗かき」になっている。
クス・・・と俺は笑い。
そこから視線を外し。
もう一度サイダーでカラカラの喉を潤した。
「言っちゃった。」
「・・・なんて?」
「飲んでるって。大野さんちで。」
「・・・ぇ。」
「お祝いだからいいでしょ?って書いといた。」
「・・・。」
ぽん・・・とテーブルに。
裏返しにしてスマホを置く。
ブブ・・・ブブ・・・と立て続けにスマホが何度か震える・・・けど。
それを見ようとしない和君。
「・・・和君。」
「・・・ん?」
「見なくていいの?」
「・・・ぅん・・・いいの。」
「だってきっと・・・二人からの返事だよ?」
「いいの。」
ついっと。
指で・・・はじくようにしてスマホを向こうへ押しやる和君。
くるり・・・と半回転したスマホが。
斜めに滑りテーブルの端で止まる。
まだ。
ブブ・・・とスマホが鳴っているけど。
でも。
和君にはもう見る気はないようだ。
「ぁ・・・そうだ!」
「・・・ぇ///。」
和君が。
急にはじかれたようにしてリュックをとると。
そこから封筒を。
あの・・・薄いピンクの封筒を手に取った。
そして。
「はい///プレゼント。」
「・・・ぇ・・・俺・・・に?」
「ぅん。」
俺に渡すから。
中を・・・見たら。
そこには。
「お店のお客さんでね。画商の人がいるの。」
「・・・。」
「でね・・・その人がね・・・作品展の招待券何枚か持ってるって言うからね。」
「・・・。」
「欲しいって言ったの。」
「・・・。」
「そしたら今日くれて・・・。」
「・・・。」
「興味があるなら案内するよって言われたんだけど・・・それ断って・・・。」
「・・・。」
「もらったの。チケットだけ。日本画のやつ。」
「・・・。」
今日和君が話していたあの人。
画商だったんだ・・・。
案内するよ・・・と言ったのに断られた画商のあの人が・・・ちょっと不憫で。
でも断ってくれたことに少しの嬉しさがあり。
って言うか・・・二枚のチケット。
有名な日本画の画家の作品がたくさん並ぶ作品展。
大きな美術館で期間限定で開催されるチケットだった。
これを・・・俺のために?
「二枚もらったんだけどね。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・誰か・・・行く人いる?一緒に。」
「・・・。」
「もしいないなら・・・」
「いないよ。」
「・・・。」
「和君。一緒に行こうよ。」
「・・・ぅん///。いいよ。」
「ありがとう和君・・・俺のために・・・」
「俺全然絵とかわかんないけどいい?」
「いいよ。俺だって詳しいことはわからないし。」
「・・・そうなの?」
「そうだよ。」
「へぇ・・・。」
クリクリの瞳で・・・上目遣いで俺を見つめる和君。
サイダーがぶ飲みのおかげでかなり酔いが冷めてきた俺だけど。
これは。
それなりに酔っていたら。
相当やばいレベルだな・・・と。
すっと視線をチケットへとそらしながら言った。
「いつ行こうか。」
「・・・ぅん・・・。」
「土日は混みそうだけど・・・」
「ねぇ。」
「・・・ん?」
「デートみたいだね。一緒に美術館行くなんて。」
「・・・そう・・・だね・・・。」
「した?最近デートとか。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・いや・・・してない。」
「ふぅ~ん・・・。」
ホント?って顔して俺を見る和君。
くぴくぴ・・・っと。
ビールを飲んでいる。
.
つづく
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毎日20時に更新です。
楽しんでいただけたら・・・。
ではでは。
来てくださってありがとうございました。