お話書かせていただきました///。
大宮さんのBLです。
苦手な方はご注意を。
こちらは続編です。
本編はこちら→「三ツ矢サイダー①」
では・・・どぞ♪
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Side.Sakurai
大浴場へ向かう最中に・・・朝食へ向かう人たちと出会う。
朝食はブッフェだから。
出発までに食べられればいいんだけど。
ちょうど今・・・レストランがオープンした時間だからか。
エレベーターもそこそこに混雑していた。
男湯ののれんをくぐり。
スリッパを脱ぎ。
脱衣所は・・・昨夜ニノもかかっていたあのマッサージチェアが3台置かれたその奥。
そちらへ向かおうと・・・歩き始めてすぐに気づく。
そこに。
マッサージチェアに。
大野さんが座っていることに。
口をあけて。
幸せそうな顔。
目覚めもよろしかったようで。
スッキリした顔しちゃってる。
一瞬・・・何かのツボに入ったのか。
ぉ・・・って小さく声を出してたけど。
じっとおとなしく座っている。
ホント・・・マイペースな人だ。
こうして見ると。
やっぱり温厚そうに見えるんだけど・・・でも。
昨夜のあの・・・雄な大野さんを知った後では。
この穏やかな表情さえ・・・軽く恐怖だ。
立ち止まっているのを・・・不信に思ったのか。
ちら・・・と横目で俺を見る大野さん。
その顔がもう真顔で。
目が・・・にらんでいるように見えて。
ほらやっぱり・・・ちょっと怖いじゃん///。
俺は・・・話しかける気が急速にそがれ///。
って言うか気持ちよさそうにしているのに邪魔しちゃ悪いと思って今はもうあきらめ。
軽く会釈をして・・・そそくさと脱衣所へ向かった。
浴衣の帯を解きながら思う。
とにかく・・・いつか疑いは晴らさなくちゃ・・・と。
ニノのこと・・・ソウイウ風には見ていない・・・と伝え。
2人のことを邪魔する気はない・・・と。
そこもきちんと伝えたい。
そんなこと考えながら・・・浴衣を脱ごうとして。
・・・。
・・・。
ふと思う。
やっぱり今チャンスかも・・・と。
なかなか・・・大野さんと二人きりなんてなれないから。
だから・・・やっぱり。
今しか・・・なくね?
びびってる場合じゃなくね?
俺は。
解いた浴衣の帯を・・・急いでつかみ。
ちょっとあたふたしながら・・・もう一度締めなおしていた。
長い帯が体に絡みモタモタしていたら。
脱衣所の・・・向こうの端をすっと移動する人影。
ぱさっと・・・タオルを肩にかけ。
体を揺らしながらガニ股でマッサージチェアの方へと向かう背の高い人物。
まさに今・・・お風呂を終えたその人が。
大野さんに大声で話かけるのが聞こえた。
「大野。それ気持ちいいのか?」
「ぅん・・・気持ちいいよ。」
「『ぅん』・・・はねぇだろ。俺先輩だぞ?」
「今さらじゃん。」
「はぁ・・・嘆かわしいねぇ。」
「松兄もやってみれば。」
「いや俺はいい。くすぐったいんだよソレ。」
松兄・・・と呼ばれたその人。
その人は・・・社内ではかなり有名な営業マン。
大野さんとはまた違った意味だけど・・・ある意味アウトローな人。
でも兄貴肌で優しく世話好きで。
後輩からはとても慕われている。
大野さんと・・・こんなに親しいなんて知らなかった。
ホント。
今回の社内旅行は。
驚きながらも・・・収穫が多い。
俺もまだまだだな・・・と思い知らされる。
「そう言えば大野・・・お前昨夜エレベーターホールでチュウしてただろ。ニノと。」
「ああ・・・うん。」
「俺が気ぃ使わなかったらウチの営業部長に見られてたぞ。」
「別にいいし。見られても。」
「よくはないだろ・・・。」
「なんで?俺隠してねぇし。」
「あのなぁ・・・。」
「別にばれてもいい。」
「そうはいかねぇだろ。なかなかその・・・受け入れられねぇ人だっているんだし。もしばれたら・・・」
「なに。ばれたらクビになるってこと?」
「クビとまではいかねぇだろうけど・・・。」
「俺さ。」
「・・・。」
「それなりに会社に利益もたらせてるつもりだけど。」
「・・・。」
「簡単に俺をクビにできないくらいのことは・・・してるつもりだから。」
「・・・まあな。」
「それでもクビにするんだったら・・・そんな会社俺から願い下げだね。」
「いやだから・・・いきなりクビってことはねぇだろうけど。」
「・・・じゃあなに。」
「仕事がやりにくくなるって言うか・・・いにくくなるって言うかさ・・・。」
「・・・。」
「ほらだって・・・ニノは隠してるだろ?」
「・・・ぅん。」
「それって・・・」
「あいつ・・・隠すんだよ俺とのこと。」
「・・・だからそれは・・・」
「もっと信用すればいいんだよ俺を。」
「・・・。」
「どんなふうになったって俺が守ってやるのに。」
「お・・・かっこいいねぇ。」
「ちゃかさないでよ。俺マジだし。」
「わりぃわりぃ。信用はしてるだろ・・・付き合ってんだから。」
「・・・でも・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「そんな寂しそうな顔するなよ。ニノはさ・・・心配なんだよお前のことが。」
どんな顔しているのか。
大野さんの寂しそうな顔・・・なんて想像つかないんだけど・・・でも。
その・・・かなり立ち入った会話に。
俺がここにいること知らないんだ・・・と気づき。
だから・・・もう全然今更動けなくて。
って言うか・・・逆にばれたらヤバそう。
仕方なく俺は・・・身動きせずに。
立ったまま・・・じっとして二人の会話を聞いていた。
「それにしても最近・・・ニノはキレイになったな。」
「まあね。」
「お・・・余裕だな。俺がキレイにしたんだってか?」
「そうだよ。」
「はぁ・・・言い切ったよ。すごい自信だな。」
「確信だし。」
「・・・なあ。ニノ一晩貸せよ。俺がもっとキレイにしてやるから。」
「冗談でも笑えない。」
「いてっ///嘘だよ。冗談だよ。」
「・・・。」
「冗談だってば///。んな怖い顔すんなよ。」
怖い顔・・・なら。
想像できる///。
っていうか・・・松岡さん。
そんな冗談言えるんだ///。
・・・と。
ぱたぱた・・・と入り口の方から誰かが駆けてくる足音。
そして・・・まるで跳ねるような・・・甘えた声が聞こえてきた。
一瞬で空気が変わる。
つづく
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来てくださってありがとうございました。