こちらは大宮さんBL物語です。
苦手な方はご注意を///。
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コクコク・・・と。
意外にも勢いよく飲むその姿を見て。
少し安心する。
心なしか・・・さっきよりも目がしっかりしているように感じる。
でもそれももしかしたら薬のおかげなのかもしれない。
「さぁ・・・今度こそ寝て。」
「・・・ん。」
「少しよくなってるかもしんないけど。」
「・・・。」
「薬が効いてるだけかもしれないんだからね。」
「・・・。」
「ここ・・・ペットボトル置いとくから。」
「・・・。」
「スマホここ置くよ?」
「・・・。」
「一応タオルもここに・・・」
「ニノ。」
「・・・ん?」
「・・・帰っ・・・ちゃう?」
「・・・え?」
「俺が・・・寝たら・・・。」
「・・・。」
「・・・帰っちゃう?」
・・・。
・・・。
いて・・・いいの?
ううん・・・いて・・・欲しいの?
って言うかなにその聞き方。
いてよって・・・言えばいいじゃん。
・・・。
・・・。
ううん・・・きっと弱ってるんだよね。
風邪ひいちゃって・・・体も心も弱ってるんでしょ?
いつもの俺ならきっと・・・さ。
「いて欲しいの?」なんて聞き方すると思う。
でも。
今は。
素直になりたい。
「いるよ。」
「・・・。」
「いるから。」
「・・・。」
「だから・・・。」
「・・・。」
「ゆっくり寝て。」
「・・・ん。」
ふわっと・・・微笑みながら目を閉じる先輩。
もうすぐに・・・寝息が聞こえはじめる。
薬が効いているのかお腹がふくれたからか。
安心したからか・・・わからないけどでも。
先輩が眠れたことにほっとした俺。
ふぅ・・・と息を吐いて。
気づいたら。
・・・。
・・・。
その頬に触れていた。
触れる・・・なんて。
自分から。
こんな風に触れるなんて。
・・・。
・・・。
手だって繋いだことがある。
頬にキスだってしたことあるのに。
初めて触れた様な感覚。
不思議。
触れたいとか触れようとか。
思う前に触れていた。
そこには。
ただ触れたいって思いしかなくて。
もう。
ただただ・・先輩が愛おしい。
そっと。
頬から手を離し。
その・・・手に触れ。
なでる。
先輩。
早くよくなって。
早くよくなって・・・さ。
いつもみたいに俺に笑いかけてよ。
あの穏やかな・・・優しい微笑みでさ。
俺に笑いかけて。
さっきの力ない先輩の笑顔を思い出すと。
胸が苦しくてたまらなくなる。
もう・・・なんか俺。
目頭に力入れすぎてさ。
ちょっと眉間が痛い。
・・・。
・・・。
そうだよ・・・うん。
そう言えばもうさ。
ここんとこずっと・・・俺笑えていない。
ううん・・・笑ってるよ?
笑ってる。
笑顔にはなってるけど・・・でも。
それは顔が笑顔を作っているだけでさ。
ホントの本気で笑ってない。
俺が笑顔になるためには・・・さ。
先輩の笑顔が必要なんだって今気づいた。
先輩が笑ってくれないと。
先輩がそばで笑ってくれてないと。
俺・・・笑えない。
先輩の指に・・・指を絡める。
そして思う。
愛ってさ。
こういうことなのかも。
笑顔が見たい・・・っていう。
こんな単純なことなのかもって。
すーすーと寝息をたてて眠る先輩を見つめる。
穏やかな寝顔。
多分もう大丈夫。
少しだけ・・・俺の頬も緩む。
・・・。
・・・。
先輩。
・・・。
・・・。
優しくて。
誠実な人。
・・・。
・・・。
初めて。
初めて・・・強く思った。
この人に愛されたいって思った。
俺を愛して欲しいって思った。
・・・。
・・・。
思い出す。
あの放送室。
高校生の俺。
こういう人に愛されたら幸せになれるんだろうなって思った。
多分。
あの頃の俺はまだ何も知らなくて。
だから・・・きっと純粋で嘘偽りのない素直な気持ち。
本能。
直感みたいなもの。
あの頃から俺は。
・・・。
・・・。
先輩の愛を求めていたのかもしれない。
偶然だけど。
再会できてよかった。
言ってみようか。
目覚めたら。
先輩が元気になったら言ってみよう。
俺を。
俺を愛してくれる?って。
素直に聞いてみよう。
無理だって言われたって簡単には引き下がらない。
だって愛して欲しいから。
先輩。
もしかして困らせちゃうかもしれないけど俺。
うんって言ってくれるまで。
離れない。
今そう決めた。
.
つづく
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少しずつですが毎日8時16時0時の更新です。
楽しんでいただけたら嬉しいです♪