こちらは大宮さんBL物語です。
苦手な方はご注意を///。
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「急に来るんだもん。びっくりしちゃった。」
「ん?悪いか?」
「悪くないけど・・・いつも金曜日でしょ?うーさん来るの。」
「なんだ。金曜日以外は来ちゃいけないのか?」
「んな訳ないでしょ。もっともっと来て欲しいし。」
「お・・・かわいいこと言うなぁ。」
「フフ・・・ちょっとぉ・・・くすぐったいから///。」
そっとその指でニノの頬に触れる部長。
俺がいるのに・・・いちゃいちゃしまくる二人。
「ねぇ・・・紹介してよ。お連れさん。」
「ん?ああ・・・なんだカズ。気になるのか?」
「当然でしょ?うーさんが人連れてくるなんて初めてだもん。ねぇ?初めまして。カズです♪」
「ぁ・・・は・・・じめまして///。大野です。」
俺を見ても「初めまして」と言うニノ。
大野という名前を聞いてもその瞳に何の反応もでない。
やっぱり覚えていない。
まあ・・・当然だ。
俺を覚えている訳もない。
そもそも当時・・・名前だって知られていたかどうか。
って言うか。
ニノ・・・なんて頭の中では言ってるけど。
でも実際にそんな風に呼んだ記憶もないし。
カズ・・・と呼ばれているけどそれが本名なのか俺は知らない。
その程度の知り合い。
いや・・・知り合いと呼べるかどうか。
なのに。
とても鮮明に覚えている。
部長がこそっとニノに内緒話をする。
その・・・ニノが聞いている姿を盗み見る。
白い肌とクリクリの茶色い瞳。
手繰り寄せる記憶。
思い出すのは。
通学路のあぜ道。
自転車での通学。
砂埃舞う校庭。
くたびれた学ラン。
ガタつく机。
古びた体育館。
子供と大人の狭間を過ごした3年間。
あの頃の1つ2つの歳の差は。
今のそれと比べるとかなり大きく違っていて。
それは体も心も・・・だ。
そう。
俺達は・・・俺とニノは。
同じ高校に通っていたんだ。
と言ってもほぼほぼ接点はなく。
ニノは俺が3年の時の1年。
たったの1年だけど・・・同じ校舎で同じ時間を過ごした。
ニノはずいぶんとかわいくて校内では有名で・・・かなり噂になっていた子だった。
最初は廊下とかですれ違い。
同級生に・・・あれが噂の二宮だよって聞かされて。
へぇ・・・って思った程度。
確かにかわいいけど。
女子みたい・・・と言うよりは。
子供みたいな犬みたいなあどけないかわいさで。
きっとこれは・・・誰にでも好かれるだろうな・・・なんて。
漠然とそんな風に思っていただけ。
そんなニノと俺が・・・一度だけ近づいた時があって。
それが・・・秋の文化祭。
実行委員に選ばれた俺は。
文化祭当日に放送係になった。
迷子とかイベント時間のお知らせとか・・・そういうのを伝えるために。
放送室に交代で待機している係。
そこで。
1年のニノと3年の俺は二人一組になって2時間を一緒に過ごしたんだ。
とは言え。
しゃべったのは最初の20分くらいで。
少ししたらニノは・・・椅子に背もたれたままウトウトし始めた。
ゲームが好きだと言うニノ。
「昨夜遅い時間までゲームしてたんです。」なんて言う。
だから。
どうせ暇だし・・・じゃあ寝てていいよって俺が言ったら。
「すいません///」って言って。
机に横向きに突っ伏して眠っちゃったんだ。
すぐに小さな寝息が聞こえて来て・・・はやっ///て思って。
でも・・・寝ながらニノは。
寒そうに半袖の腕をさすり始めた。
学ランは着ていなくて・・・白の半袖シャツだったニノ。
9月とはいえ。
ここ・・・放送室はまるっきりの日陰で。
太陽の光がまったく差し込まない。
全然動かずじっとしているから・・・半袖じゃ確かにちょっと寒いだろう。
俺は・・・俺は着ていたから学ランを。
だからその着ていた学ランを脱ぎ。
一瞬躊躇したけど・・・でも。
寒そうなニノがかわいそうで。
その肩にそっとかけてあげた。
かけながら・・・至近距離でニノを見つめる。
白い肌と長い睫毛。
軽く開いた柔らかそうな唇。
まるで赤ちゃんみたい。
なのに。
じっと見つめていると。
言葉では説明できない不思議なドキドキが沸き起こり。
それは同級生の女子にすら感じたことのない感情。
その初めての感情に。
俺はなぜか体が火照り。
交代がくるまでの約1時間半。
じっと・・・俺はただじっと。
眠るニノを見つめて過ごしていた。
その肌に触りたい・・・と。
そんな欲求とずっとずっと戦いながら。
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つづく
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少しずつですが毎日20時の更新です。
楽しんでいただけたら嬉しいです♪
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