大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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Side.N
眼の前に座る生徒。
確かサッカー部の2年。
背が高くてモデルみたいな体形で。
ちょっと熱くて・・・まっすぐな生徒。
男女問わず人気者で。
先生の間でも有名な生徒だった。
「話を聞いてください」・・・と言ったきり黙っている。
何か深刻な思いを抱えているのはわかった・・・けど。
僕はベッドにいる大野さんが気になってしかたなかった。
熱中症。
大丈夫だろうか。
もう少し・・・経口補水液を飲ませればよかった・・・と。
机の上の・・・三分の一くらいしか減っていないペットボトルを見る。
ちゃんと・・・保冷剤もあとで交換しよう。
まだ冷凍庫にいくつかあったはずだし。
ああ・・・もっと汗も拭くように言えばよかった。
心配する気持ちが強すぎて。
上手く対応できなかった。
大野さん。
ベッドの上で見つめ合った。
その近さに一瞬ドキッとしたけど・・・それよりも。
顔が・・・赤くて心配になった。
服・・・脱がせた方がよかったかもしれない。
冷たいタオルでもっと体を拭いて・・・。
「先生?」
「ぇ・・・なに?」
「俺・・・好きな人がいて・・・。」
「・・・。」
恋の相談。
これは・・・本当によくあること。
それなら放課後に聞くから・・・と言って。
教室に帰そうかと思ったんだけど。
自習中だと聞いて。
なら・・・まあいいか・・・と思った。
「うん・・・それで?」
「告白しようと・・・思ってて・・・。」
「・・・うん。」
「でも・・・どうしようか迷ってて・・・。」
「・・・。」
迷ってるんじゃないってこと。
わかってる。
心はもう決まっているはずなんだ。
欲しいのは後押し。
背中を押して欲しいだけ・・・でしょ?
「どうして迷うの?」
「だって・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「男・・・なんだ。」
「・・・え。」
「男だから。俺の好きな人。」
「・・・そう・・・なんだ・・・。」
きゅ・・・っと。
胸が痛む。
それは・・・辛いね。
すっと・・・無意識にベッドの方を見た。
きっと・・・ほぼほぼ叶わない恋。
それどころか。
思いを伝えたら。
多分今の関係すら崩れてしまう。
それは・・・もっと辛い。
カーテンの向こうで眠るあの人を思い。
そのままの姿勢で言った。
「それは辛いね。」
「・・・。」
「でも・・・。」
「・・・。」
「先生は・・・その思いは全然悪い事じゃないと思うよ。」
「え・・・ホント?」
「うんホント。」
「でも・・・だって男同士だよ?気持ち悪くない?」
「悪くないでしょ・・・。」
「・・・。」
「人を好きだって思う気持ちは・・・。」
「・・・。」
「止められないし。」
「・・・。」
「きっと・・・思いを止めようとしたんでしょ?」
「・・・。」
「でも止められなかった。」
「・・・。」
「それは・・・。」
「・・・。」
「だって自分の純粋な気持ちだし・・・。」
「・・・。」
「相手が誰であろうと・・・。」
「・・・。」
「女子だろうが男子だろうが・・・。」
「・・・。」
「『愛』にはかわりないから・・・だから・・・」
「・・・。」
「自分の気持ちを大事にして。」
言いながら・・・思う。
僕はどうなの?って。
大事にしてる?って。
大野さんの事・・・好きだけど。
思いを伝えるつもりはなくて。
だって・・・きっと受け入れてなんてもらえない。
だからせめて今の関係を・・・
「俺。」
「・・・ん?」
「先生の事が好きなんだ。」
「・・・誰?先生って。」
「二宮先生。」
「・・・え・・・僕?」
「そう。俺二宮先生の事が好きなんだ。」
僕を好き・・・。
男子生徒からのこういう告白は3度目だった。
この2年間で2度・・・告白された事があった。
今までは。
ちょっと驚いて。
で・・・ごめんね・・・なんて言って断っていただけだけど。
今日は・・・ね。
なんか・・・ちょっとぐっときた。
真剣な顔して・・・僕に告白する男子生徒。
同性に好きだ・・・と言う事が。
どれほどのことなのか・・・その気持ちが今ならわかるから。
怖いはずなのに・・・今の関係が崩れる事が。
なのに・・・気持ちを伝えてくれた。
だから。
すごいな・・・と。
生徒だけど・・・その勇気を改めてすごいな・・・と思った。
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つづく
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作者のナツコです。
読んでくださって、ありがとうございました。
お話はまだまだ続きます。
毎日0時8時16時に更新の予定でございます。
最後までお付き合いいただけたら嬉しいです♪