大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
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「二人が・・・うらやましかったよ。」
「・・・。」
「外科医として・・・この病院に迎え入れられた二人が・・・うらやましかった。」
「・・・。」
「翔は・・・自信があるのが見てわかったし・・・すぐに人気者になったし。」
「・・・。」
「智は・・・お前は・・・昔からぶれなくてマイペースなのに・・・みんなから受け入れられる。」
「・・・。」
「僕は・・・何もなくて・・・。」
「・・・。」
優君が。
小さく見えた。
不遜に見えていたあの態度は。
虚勢だったのかもしれない。
そう思うと・・・。
「智。ちょっと。」
バン・・・と扉をあけて。
院長がちょっとあせったように俺を呼んだ。
俺は・・・何を言われるのか・・・と。
若干不安に思いながら・・・隣の部屋へと入った。
扉のところで秘書さんと入れ替わる。
やっぱり・・・俺を一瞬じっと見つめる。
何か言いたげな瞳だった。
「さっき秘書から聞いたんだが・・・。」
「・・・。」
「昨夜から・・・院内で妙な噂が広がっている。」
「・・・妙な噂・・・?」
「・・・その・・・。」
「・・・。」
「お前とその・・・二宮君が・・・。」
「・・・。」
「その・・・そういう付き合いをしている・・・と・・・。」
「・・・。」
「そうなのか?」
そういう付き合い・・・とは多分。
いわゆる・・・恋人としての付き合い・・・と言う意味合いの事。
昨夜からの噂。
それは・・・多分。
あの時のこと。
和が倒れ・・・意識がない時に。
必死で俺が呼び掛けたあの時からって・・・ことなんだろう。
あそこには・・・たくさんの人がいた。
多分医者も・・・患者も・・・いたはずだ。
みんなが・・・俺の声を聞いていただろう。
あの時の事思いだす。
なんて言って・・・和に声をかけたか。
あまりよく覚えていない。
必死すぎて。
ほとんど覚えていなかった。
すがりついて。
必死に「逝くな」・・・と言ったことしか覚えていない。
ああ・・・そうだな。
それを見て・・・その言葉を聞けば。
そう思われるのも・・・無理はないな。
・・・。
・・・。
でも。
そう。
俺は・・・隠す気はない。
「そうです。」
「・・・ぇ・・・。」
「俺と・・・和・・・二宮和也は・・・。」
「・・・。」
「恋人同士です。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・そう・・・か・・・。」
じっと立っているのに。
目だけは・・・世話しなく動く院長。
何を考えているのか・・・わからなかったけど・・・でも。
怒っているようには見えない。
とまどっている。
そんな感じだった・・・でも。
「噂は収束させる。」
「・・・。」
「でたらめだ・・・と言う事にするから・・・だからお前も・・・」
「なんで・・・俺は別に知られても・・・」
「病院の外聞ってもんがある。」
「・・。」
「いいか。二人の付き合いは俺は否定しない。それはお前の自由だ。」
「・・・。」
「でもここは俺の病院だ。ここを守るためには俺の言う通りにしてもらう。」
「守るって・・・どうして俺と和の付き合いが病院を・・・」
「誰もがみんなその事に寛容な訳じゃない。」
「・・・。」
「命のかかっている現場なんだ。」
「・・・。」
「病院は・・・病気やケガを治すことだけに専念する場だ。」
「・・・。」
「それ以外の・・・患者やスタッフ・・・ナースや医者の心を乱すようなことは慎め。意味はわかるな。」
「・・・はい・・・。」
「付き合うな・・・とは言わない。でも隠し通せ。」
「・・・。」
「お前は脳外科の病棟に移れ。」
「・・・え・・・。」
「病院では離れて仕事をしてもらう。」
「・・・。」
「いいな。」
返事ができなくて。
俺は・・・うつむいた。
院長の言ってる事は正論だ。
まだ・・・俺達の関係を否定されなかただけ・・・ありがたいことなんだ。
でも。
やっぱり。
隠さなくちゃいけない付き合いなのか・・・と。
それを思い知らされて。
さらには。
「俺の病院だ。」・・・と言われた事が。
ずっしりと心にののしかかる。
.
つづく