大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜*~
あれは。
救命救急センターに配属された直後。
初めて出勤した当日。
緊急手術が必要な患者が運ばれてきて。
初めまして・・・と言ったわずか数分後すぐにオペになった。
手術自体はそんなに難しいものではなかったけど。
とにかく時間がなくて。
短い時間で患者の情報を頭に叩き込んだ。
そうして迎えた手術。
機械出しのオペナースとしてついてくれたのがニノだった。
当たり前だけど・・・初めて見たニノは。
マスクと帽子で顔のほとんどが隠れていて。
最初・・・目しか見えなくて。
その目が驚くほど茶色くてキレイで。
それに・・・ちょっとびっくりしたことを思い出す。
オペが進み。
初めての救急での手術も後半になり。
山場を超えあと少しでオペが終わる。
そんな・・・組織を糸で縫合している最中に。
癒着している血管の組織をはがそうとして。
ちょっと気が緩んだ俺は。
「ハサミ。」
そう言ってしまった。
言ってからすぐにしまった・・・と思う。
いわゆる医療用ハサミと呼ばれるものはたくさんあって。
その時々で使うものは当たり前だけど違っていて。
だから・・・ちゃんとした名前を言わなくてはいけないのに。
ついオペに夢中になるあまり「ハサミ」と抽象的な事を言ってしまった。
なのに。
「メッツェンです。」
そう言いながらさっと目的のメッツェンが眼の前に出てきた。
糸を切るハサミではなくて。
俺の望んだ方・・・組織を剥離する方のハサミをちゃんと出してきれくれたオペナース。
その・・・あまりの的確さに感心するよりも先に。
その聞こえて来た声に。
そうだ・・・このオペナースは男性だった・・・と。
そっちの驚きの方が先だった。
なぜなら・・・意識の遠くの方で・・・だけど。
ずいぶんと細やかだな・・・と感心するくらいのオペナースぶりだったから。
男性だとわかっていたのに・・・なぜかずっと女性だと思っていて。
だから改めてその繊細さに驚いた。
そしてさらに・・・ここで初対面の俺の「ハサミ」に速やかに対応したことも驚きだった。
そう言えば今の今まで・・・何の滞りもなく速やかにオペが進んでいることに気付く。
初めて来たオペ室。
短時間で詰め込んだ患者の情報。
なのにここまで上手く行っているのは。
手術に集中できているのは。
助手の医者のおかげもあるけど・・・でも。
この看護師のおかげもかなりある・・・と思い。
なかなか頭の切れる・・・好感の持てる看護師だと思った。
オペ後。
救命救急に戻りさっきの看護師を探すと。
探す間もなく・・・向こうから俺の方へと向かって来た。
「ご挨拶が遅れてすいません。看護師の二宮です。」
「あ・・・大野です。」
「よろしくお願いします。」
ぺこり・・・と頭を下げてから。
俺を見上げたその顔が。
マスクをしていた時と比べると・・・全然幼くて。
そのあどけなさに・・・どきっとする。
俺はそんな動揺を隠そうと・・・少しとまどいながら自己紹介を続けた。
「あ・・・俺・・・専門は脳外科で・・・」
「聞いてます・・・院長先生の甥っ子さんだって事も。」
「ぁ・・・知ってるんだ・・・。」
「はい・・・みんな知ってます。」
「・・・そっか・・・。」
「器具の場所とか・・・わからない事があったら僕に聞いてください。」
「・・・ぁ・・・ありがとう。」
「さっきのオペ・・・。」
「・・・。」
「すごく丁寧でキレイでした。」
ついっと近付かれ。
至近距離で・・・フフ・・・とほほ笑んだその笑顔に見惚れる。
この子にもっと・・・ほめられたい。
認められたい。
その時突然・・・そんな欲求が生まれたんだ。
それから・・・自分の思いに気づくのに時間はかからなかった。
いつも目で追っていて。
気づくとそばに近付いている。
その声で呼ばれると心が跳ね。
その瞳で見つめられると心が溶ける。
鈍い俺でもわかる。
もう・・・確定だった。
多分・・・初めて会ったあの手術室ですでに。
惚れていたんだと思う。
だってその後の・・・あのストーカー騒動の時には。
自分でもビックリするくらい・・・もう・・・ニノへの思いが溢れていたんだから。
.
つづく