未知の分野でございましたので。
それなりにお勉強はしたつもりではありますが。
やはり・・・自分で学ぶには限界があり。
もしかしたら・・・プロの方が見たら。
あれ?と思うところもあるかも・・・ですけど。
大目に見ていただけたら・・・と思っております。
季節は少し戻りますが。
冬の時期の物語です。
(「Doors~勇気の軌跡~」からタイトルだけお借りしています)
大宮さんBL前提のお話です。
苦手な方はご注意を///。
〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜* 〜*~
Side.O
硬質の部屋。
機材が所狭しと並べてあり。
ピ・・・ピ・・・と無機質な電子音が聞こえる。
消毒液の匂いのする中を。
バタバタとせわしなく行き交う医者・・・看護師。
大きな声も時折飛び交う。
そんな中・・・患者を一人見終え手を洗っている俺にすっと近付いてきた松本先生が。
俺に一言告げた。
「大野先生・・・俺オペに入るから・・・あと頼みます。」
「了解・・・ニノと?」
「やりたいけどね・・・簡単な手術だから。ああ・・・すぐ行く。」
呼ばれた松本先生はそう言うと白衣をさっと翻し。
救急室を後にした。
その直後・・・カルテを手にニノがやって来る。
「大野先生・・・さっき運ばれてきた60代の男性なんですが・・・。」
「ん・・・背中が痛いって言ってた人?」
「はい・・・特に左側が痛いらしいんです。」
「左側・・・。」
「アルコールも過剰に摂取しているようですし・・・もしかしたら・・・。」
「・・・膵炎か。」
「CTにしますか?」
「ん・・・頼む。」
「はい。」
話が早いし勘もいい。
ニノは間違いなく優秀な看護師だ。
ここ・・・救命救急では大事な存在であり。
さらには。
俺にとっても。
・・・。
・・・。
個人的に・・・うん。
大事な存在でもあった。
ニノは・・・そんな俺の思いに気づいてもいないだろうけど。
ここは・・・都心から少し離れた場所にある大病院。
あらゆる診療科目があり。
さらには救命救急センターがあって。
だから・・・昼夜問わず救急患者が運ばれてくる。
いわゆる第三次救急(重症患者のための救急)なんだけど。
第一次第二次の救急患者も受け入れていて。
時には病棟の医師に助けてもらう事もあった。
俺はそのセンターに勤務している医者だ。
ここに来てまだ1年足らずだけど。
ここ・・・救命救急の医者や看護師とも。
病棟の医者や看護師とも上手くやっていけていると思っている。
それは。
俺が院長の甥だからって言うのもあるんだろうけど。
それだけじゃなくて。
やっぱり・・・ニノが。
優秀で・・・看護師としても一目置かれているニノが。
俺の事を認めてくれているから・・・だから。
それが周りに影響している・・・と。
それも大きな理由だと思っている。
CTを終え急性膵炎の診断を下し。
軽症だったため・・・看護師に入院手続きの指示をした。
するとまたすぐに電話が鳴る。
「はい。70代男性。」
ニノが俺を見ながら電話に出ている。
じっと俺を見つめるその瞳に。
こんな時なのに魅入られて動けなくなる。
「二階ベランダから落下。はい。」
どうしますか?という顔で・・・俺を見る。
「意識はある・・・ええ・・・。」
そっとニノに近づいて。
近づきすぎないように・・・それでも近づいてそして早口で言った。
「受け入れる。」
「受け入れます。」
俺の言葉を繰り返すかのように。
すぐにニノが電話口で相手に言った。
間もなく救急車が到着する。
俺とニノは一緒に廊下を駆けた。
走りながらニノに言う。
「患者の様子は?」
「意識はあります。血圧は・・・あ・・・そこ物置かないで!ストレッチャーが来るから!」
ニノがテンポよく説明しながら。
すれ違った後輩看護師に注意をする。
言われた看護師は「すいません!」と言いながら重そうな段ボールをどかしていた。
救急の看護師は気が強い・・・と言われることが多いけど。
正直強くなければやっていけない・・・と俺は思っている。
ニノも・・・強いと言えば強いんだろうけど・・・でも。
その強さの根底にあるのは深い優しさだと思っている。
そんなニノに俺は何度助けられてきたか。
つづく