「春嵐」の続編です。
大宮さんの腐のお話です。
苦手な方は。
ご注意を///♪
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電車が来た。
予定時刻よりも少し遅れての到着。
ちょっとガラの悪そうな男がドアサイドに立っているのが見えて。
軽く和君の腕をひいて。
一つ隣の扉へと乗り位置をずらした。
開いた扉からは。
ほとんど人が降りない。
混んではいないけど。
座れるほど空いてもいない。
向こうのシートには・・・横になって寝ているサラリーマンがいた。
とにかく・・・間に合った事にほっとしたけど・・・でも。
このまま。
この独特な空気が漂う最終電車に・・・数十分乗り。
家へと帰る和君を思うと。
やっぱりもっと早くに帰すべきだった・・・と思う。
・・・。
・・・。
いや。
そうじゃなくて。
早く帰す・・・じゃ・・・なくて。
・・・。
・・・。
プルルルル・・・と。
発車のベルがなる。
乗り込んだドア付近で。
俺を見ている和君。
思うより先に・・・声が出た。
「・・・次は・・・。」
「え?」
「次・・・。」
「なに?」
発車のベルの音で。
俺の声がかき消える。
じっと・・・俺の。
唇を見つめる和君。
唇の動きで・・・俺の言いたい事を。
理解しようとしているのか。
俺は。
ベルが鳴り終わるのを待ち。
そして。
・・・。
・・・。
ドアが閉まる寸前に。
早口で言った。
「次は帰さないから。」
一瞬で。
真っ赤になった和君。
俺を凝視したままで。
扉はしまった。
俺を・・・じっと見つめたままの和君を乗せて。
電車は走り去っていった。
ホームにたたずみ。
今言った自分の言葉を思い出す。
我ながら。
ずいぶんと思い切った言葉を言ったな・・・と苦笑いする。
いや・・・でも。
それこそそういうつもりじゃなくて。
ただ一緒にいたい・・・と。
そういうつもりで言ったんであって。
ああ・・・また。
言葉が足りなかった。
あれじゃ。
誤解される。
誤解?
いや・・・でも。
いいんじゃないか・・・と思う。
だって。
誤解でも何でもないんだから。
一緒に一晩いて。
恋人同士なんだから。
だから・・・。
先へ進んだって・・・。
・・・。
・・・。
いや・・・そもそも。
そういうつもりには受け取らないかもしれないし。
っていうか。
そういうつもり・・・って・・・。
なんだよ///。
近付いてきた駅員さん。
軽くにやけている俺を。
不審そうに・・・見ている・・・から。
俺は。
ちょっとだけ咳ばらいをして。
そして・・・改札へと向かった。
家に帰る道すがら。
今日の事を思い返した。
キス。
した。
そういうつもりじゃない・・・とか。
バツが悪い・・・とか。
あれだけイロイロと考えていたのに。
思うより先に体が動いた。
頭で考えるよりも。
体は正直って事・・・なんだよな。
そして思う。
心はもっと正直だ・・・って。
さっき別れたばかりなのに。
もう・・・会いたくなってる。
理由なんてない。
ただただ・・・会いたい。
触れた手。
唇。
見つめ合った瞳。
思い返すだけで。
心が震える。
ポケットの中の。
鍵に触れる。
そして想像する。
和君が・・・自由に俺の家に出入りする事を。
俺が帰ったら。
お帰り・・・と言って。
和君が待っていてくれるのかもしれない。
そんな幸せ。
・・・。
・・・。
たまらないな。
俺は・・・また。
ちょっとだけにやけた。
「次」・・・は。
いつになるだろう。
多分。
そう遠くない未来だ。
その時俺達は。
互いに何を知るんだろうな。
いや・・・まだ。
そういう事は早すぎるだろ・・・・って言うか。
そういう事ってなんだよ・・・ってまた思いながら。
ぐるぐると・・・頭の中をさせながら///。
俺は。
夜道を家へと歩いた。
ハナキリンの花言葉
「冷たくしないで」
「純愛」
「自立」
「逆境に耐える」
そして
「早くキスして」
FIN
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↓
ありがとうございました。
のちほど。
あとがきを書かせていただきますね///。
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