「春嵐」の続編です。
大宮さんの腐のお話です。
苦手な方は。
ご注意を///♪
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まずは・・・呼吸を確認する。
横になった和君のその唇に耳を寄せたけど。
すーすーと規則正しく聞こえるその寝息に。
安心して深く息を吐いた。
あどけない寝顔。
どうして俺を抱き寄せたの?・・・と。
その寝顔に問いかけた・・・けど。
当たり前だけど返事はなくて。
ただ・・・スヤスヤと眠っている。
深い眠りのようだ。
長いまつ毛。
すっと伸びた鼻筋。
規則正しく上下する胸元。
小さく聞こえる寝息。
ピクリとも動かないその体。
熟睡しているようだ。
今なら。
何をしても。
・・・。
・・・。
視線を・・・その唇に落す。
軽く開いていて。
まるで・・・触れられるのを待っているように見える。
見つめているうちに。
近付いていたようで。
気付いたら俺は。
その頬に。
手を滑らせていた。
滑らかなスベスベの頬。
初めてこの指でその肌に触れる・・・愛おしい人。
こんなこと・・・いけない・・・とわかっているのに。
触れた指が。
離れられない。
頬を滑りながら一瞬・・・その柔らかい唇に指で触れた。
瞬間・・・その柔らかさと熱さに。
ぴりっと・・・指先から体中に電気が走る。
これは。
・・・。
・・・。
ダメだな・・・と。
そう思った。
自制が効かない。
きっと。
このままでは。
自己嫌悪になるような。
そんな事が起こりそうだ。
一度だけ・・・大きく息を吐くと。
俺は一瞬の躊躇もせず手を離し。
立ち上がった。
そして・・・振り向きもしないで寝室を出て。
そのまま・・・上着を羽織り。
すぐに家を出た。
出てすぐに・・・翔君に。
迷惑だろうな・・・と思ったけど電話をして。
泊めてくれ・・・とお願いした。
あの子がうちに泊まってる・・・と。
ただそれだけを伝えて。
翔君は。
すぐに・・・いいよ・・・と言ってくれた。
タクシーの拾える大通りまでゆっくりと歩く。
この時間はまだ・・・ひんやりとする季節。
火照った頭と体が。
クールダウンしてくると。
さっきは思わなかった疑問が。
頭に浮かんだ。
あの白い腕で・・・俺をスルリと抱き寄せた理由。
・・・あれは。
「俺」と認識して抱き寄せたのか。
それとも。
他の誰かと間違えた?
もしかして・・・例えば体が欲しくて・・・。
・・・。
・・・。
なんて。
そんな事ばかり考えてしまって。
もしかしたら・・・俺は。
そんな風な男に思われたのか・・・と。
確かに家に連れ帰ったけど。
それは・・・そういう・・・下心とかじゃなくて。
・・・。
・・・。
いや・・・下心はあったのかもしれないけど・・・でも。
・・・。
・・・。
でも違う。
そういうつもりじゃない。
こうして。
自制だってきかせている。
和君が。
あんな簡単に俺を抱き寄せるから。
・・・だから。
違う。
和君が悪い訳じゃない。
・・・でも。
・・・。
・・・。
結局。
考えがまとまらないまま・・・翔君の家に泊まらせてもらって。
そして・・・そこから。
朝・・・職場のホテルへと向かったんだ。
つづく
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