【敵機コン】②③「王偉」+まとめ | 父ちゃん日記

父ちゃん日記

うちの神楽君も次の11/9でいよいよ10歳
時の経つのは本当に早いです
神楽氏の成長と我が家の近況、
復活したプラモ製作等、超自己満ブログ~


要注意!
基本的に不謹慎父ちゃんです
面白ければ何でも良い、精神的暇人なのでご注意、ご容赦願いください
m(_ _)m
























ふと満州にいた頃を思い出す


迫撃砲弾の破片で負傷した儂を
介抱してくれたのほ
看護師として現地徴用された
「王偉」さんだった

可憐で
誰にでも優しい彼女は
負傷兵達の癒しでもあった

ある時
「何故こんな仕事をしているのか」
彼女に聞いた

彼女はニッコリと微笑んで
「家族の為」
と片言の日本語で応えた


ある朝
彼女が独り体操をしているのを見た
何の体操か尋ねたら
「八極拳」
と教えてくれた
病気の父親が
元気な時に教えてくれたそうだ
父が教えてくれた大切なものだから
毎日欠かさず練習をしているらしい

お返しに儂も
自慢の空手の型を披露したのだが
怪我の痛みを堪えられなかった
それでも彼女は微笑んでくれた

雨の日
雨にうたれながら呆然としている彼女を見た
濡れていてわかりにくかったが
泣いている様だった
どうしたのか尋ねたら
父親の容態が悪化したのだと言う

言葉につまる儂を気遣い
彼女は微笑んだ
胸が締め付けられる想いがした

ある晩
娼婦紛いの仕事をしている彼女を
見てしまった
儂は反対したが
「家族の為」
と頑なに拒む彼女の姿を見
脳天に衝撃が走った
うなだれる儂に
彼女は微笑んでくれた
何処までも優しく強く
家族想いの彼女
そんな彼女に儂は何もしてやれない
そんな
何も出来ない自分を恨んだ



怪我がほぼ治り
元隊復帰する日
儂は彼女に求婚をした
彼女は驚いた様子で
目に涙を浮かべていたが
ほどなく首を横に振ると

「私と一緒
四葉サンにヨクナイ
私お父さんが治る
お父さんとズット一緒ね」

「でも嬉しいね」
「有難う」



そう言い残し駐屯地へと戻って言った



「家族の為………」

呆然と呟き儂は立ち尽くした



それは
満州からの引き揚げ命令発令の日


しかし元隊にも
駐屯地にも命令は伝わらず

襲い来るソ連軍に儂らは
気付いていなかった








そげにゃはらみ
(`・ω・´)ゞ