ナツは小さい頃からストラウス家でお世話になっている。
親の顔もろくに思い出せないナツにとっては、
写真で見る親は知らない人。
いつも目の前の3人が家族のように思えた。
長女のミラジェーンも長男のエルフマンも次女のリサーナも
そう思ってくれている。
だから毎朝同い年で、同じ学校に通い、同じクラスのリサーナと
一緒に登校し、一緒に下校する。
だからナツにとってリサーナは姉のような妹のような存在である。
(でも何か違ぇ気がすんだよな………)
ナツはそんなことを考えながら
妖精学園へ向かう。
隣にはもちろんリサーナもいる。
ボーっと空を見上げていると
制服の端を何かに引っ張られた。
「ちょっとナツ! 聞いてるの!?」
「あ?」
「やっぱり聞いてないし!
いい加減グレイ先輩と喧嘩するのやめなよって言ってんの!」
「あいつがふっかけてくんだろー」
「我慢しなよそれ位。 あと先輩には敬語を使うものでしょ」
「やだね」
「もー」
毎朝同じ説教を喰らっていると、こいつもよく諦めねーなと思う。
「よぉ。 朝からお熱いことで」
「グレイ!!」
「ぐ、グレイ先輩!?」
噂をすれば何とやら。
校門前でバッタリとグレイと鉢合わせした。
周囲から視線を感じるのは置いといて。
「ちち、違います先輩!!
私たちそーゆう関係じゃ……」
「だよなぁ。
幼馴染でも無ぇ限り、こんな乱暴ツリ目野郎相手にしねぇよな」
「ナツはそんなんじゃ」
「何だとこのタレ目野郎!!
やんのかァ!!?」
「やだね。 朝からてめぇと遊んでる暇はねーよ。
お前と違って俺は忙しーんでね」
グレイは駆け足で去って行った。
「何だとコラァ―――――!!」
「あ、ちょっナツ!!」
その後をナツがダッシュで追いかけて行った。
リサーナはただ一人置いてきぼりにされた。
「もう……折角のチャンスだったのにぃ………」
リサーナは追いかけることはせず、
一人で教室に向かった。
昼休み。
ナツの弁当を持っているのはリサーナなので、
リサーナと昼を共にすることが多い。
「リサーナァァ……ハラ減った………」
「はいお弁当。 今日はミラ姉の自信作だって」
「おぉー! それはうまそうだな!」
嬉しそうに弁当を受け取り、すぐに包みを解く。
大きめの弁当にはたくさんの具とご飯が詰まっていた。
「うまっ! やっぱミラは料理上手ぇなー。
エルフマンもリサーナも料理すんだろ?」
「う、うん…私はまだそんなにじゃないけど。
………あのさ、ナツ」
「なんだ?」
「ナツって―――――――」
言おうとしたその時、勢いよくドアが開けられる音がした。
振り返ると、ボロボロの生徒が息を切らして立っていた。
「大変だ!! 黄昏高校のやつらが校庭で暴れてる!!」
「黄昏校!? またあいつらか!!」
聞くや否や、ナツは速攻で弁当を食べ切り、
教室を走って出て行った。
「あー……行っちゃった……
どうせエルザ会長やグレイ先輩も行くのに……」
(でも誰かに任せて落ち着くようなタイプじゃないよね、ナツは)
リサーナは一回ため息をついてから弁当を食べ始めた。
放課後。
ナツは今日バイトなので、
リサーナは一人夕焼けに染まる道を歩いていた。
(だから昼休みまでに聞きたかったのに……)
少し不機嫌になりながら商店街を歩き回る。
「あれ、ここ……新しく出来たんだ」
目に入ったのは、可愛い装飾のアクセサリーショップ。
早速中に入ると、可愛いものだけではなく、
格好いい男性向けのアクセサリーも売っていた。
「あ、これ……いいかも」
商品を見ていくと、
炎をイメージしたネックレスが置いてあった。
リサーナはそれを手に取り、レジに持っていった。
店を出たリサーナは
さっきとは違い満足そうに帰路に着く。
「いいものあったなぁー♪
これならいいよね」
小さな袋を見て、一層満足げに笑う。
ふと、リサーナは前から歩いてくる集団に目がいった。
明らかにガラの悪そうな集団で、
あちこちに包帯やら絆創膏やらが貼ってある。
(あいつら……黄昏高校ね。 多分ナツたちにやられたんだ
あーゆうのは、目を合わせ無い方がいいのよね)
そう思いながら、通り過ぎようとした時。
集団の一人に、腕を掴まれる。
「きゃあっ!! ちょっと、何するのよ!!」
「ティーボ、こいつナツの野郎の女じゃねぇ?」
「そういえばよく見かけるな
おいお前ら、こいつはナツをボコれるチャンスだぞ!!」
「離して……っっ!!」
後頭部に強い衝撃を受け、
リサーナの意識はそこで途切れた。
数時間後、ナツが帰宅。
「ただいまー…って、リサーナは?」
「あらナツ、おかえりなさい。
リサーナ、まだ帰ってこないのよ」
「おぉいナツ、何かお前に手紙来てたぞ」
奥の間から現れたエルフマンから、
四つ折りの紙を受け取る。
「!! これは……あいつら、許さねぇ!!」
「え?ちょっと、ナツ!?」
手紙を読んだ直後、
ナツは飛び出していった。
不審に思ったミラとエルフマンは手紙を拾い、
目を通した。
そこには
『お前の女は預かった。
無傷で返してほしけりゃ、
俺たちの学校の倉庫に来るんだな!』
という雑な字と、
拘束されたリサーナの写真が貼ってあった。
商店街を全速力で走るナツ。
あまりの気迫に、
ナツの友人も話しかけられずに
すれ違うことが度々あった。
(早く行かねぇと……リサーナに何すっかわかんねぇ!!)
ナツはただそれだけを頭に走った。
指定場所に来ると、昼間に殴った奴らのほかに
多くの黄昏高校の生徒が待ち構えていた。
「来てやったぞてめぇら………リサーナを返しやがれ!!」
「おいそれと返すと思ったのか?」
ナツが中央まで歩み寄ると、後ろから頭を殴られた。
「っっ!! てめぇっ……ら!」
「抵抗すんじゃねぇよ?
さもなくばこいつは………」
そういいながら、男が縛られたリサーナのカバンから
小さな袋を取り出す。
リサーナが店で買ったネックレスの入った袋である。
それを地面に叩きつけ、勢いよく踏み砕く。
中身ははバキンと音を出して砕ける。
「あぁ……!!」
リサーナが涙目になる。
「これみてぇに、なっちまうぞ?」
「てめぇ…………」
ナツは歯を食いしばりながら男を睨む。
「てめぇら!! やっちまえ!!」
男の声を合図に、そこに居た全員が一斉に襲い掛かる。
「なっ……ナツ――――――――!!」
それから数十分後。
男たちは殴り疲れて手を止め、
ナツは頭から出血をして倒れた。
「はぁ……はぁ……これだけ殴りゃあ、さすがのこいつも……」
そう思った瞬間。
ナツが立ち上がった。
「もう………気は済んだかよ………あぁ?」
「な! まだ動くのかよ!?
化け物かてめぇっ!!」
「気は済んだのかって聞ぃてんだよ」
頭から出血し、フラフラであるにもかかわらず。
男たちはその気迫に、圧倒されていた。
「ず………ずらかるぞてめぇら!!」
それを合図に、一斉に逃げて行った。
倉庫がナツとリサーナだけになると、
ナツはフラつきながらリサーナの拘束を解いた。
踏まれた小袋を拾い、リサーナは泣き始めた。
「お、おい!? どうしたんだリサーナ!!?」
いきなりの出来事に、戸惑うナツ。
「だってぇ………私のせいで………
ネックレスも……ナツもこんなになっちゃって………!!」
「これくれぇ何ともねーよっ!
ケガなら治んだし、ネックレスならまた買えばいいだろっ!!?」
「でも……今日は、これは………
ナツへの贈り物だったのに………」
泣きながら言うリサーナの一言に、
ナツは固まった。
「………は? なんで?」
「今日は……ナツのっ、誕生日、だよ………
なのにナツはひどい目に遭うしっ、
プレゼントは、こんなになっちゃうし………っ」
泣き止まないリサーナに、
ナツは何も言えずにいた。
そして、今度は何かを決心したような表情をする。
「り、リサーナっっ!!」
いきなり呼ばれて、リサーナはビックリして泣き止む。
「な、何「 」
ナツがリサーナの声を遮る。
「えっ、あ…えっ?」
リサーナはあまりにも突然のことに、
戸惑いを隠せないでいる。
「だから俺は!
お前が笑ってくれている方が良い!
祝おうとしてくれてたのに悪いけど!!
俺にとってはプレゼントより
リサーナが笑ってくれる方が嬉しい!!」
ナツの顔は赤い。
つられてリサーナも頬を染める。
「……ありがと、ナツ」
そういってリサーナは笑う。
そしてナツの耳元に顔を近づける。
ナツは初め、擽ったそうにしていたが、
リサーナがあることを呟くと、
ボッッと顔を赤くし、
後に出血のために倒れた。
リサーナは頬を染めていたが、
ナツが倒れると顔は真っ青になった。
~Fin~
時は少し遡り、男たちが倉庫から逃げ出した先。
それなりに広い公園に、一人の女性が立っていた。
「こんばんは♡ 黄昏高校の皆さん♡」
「何だてめぇ、そこをどけ!!」
「待てよティーボ、結構いい女だぞ?」
「あ、ああ……暗闇でよく見えねぇが………」
そんな会話を繰り広げる男たちの元に、
一歩一歩、音もなく近づく女。
公園に灯る街灯の光が、
女の顔をはっきりさせる。
「私の大切な家族が、お世話になったみたいね。
お礼をしに来たのよ」
「ま……待て! この女たしか………!!」
「伝説のレディース……『魔人』のミラジェーン!!!」
男たちのうちの一人がミラの名前を叫ぶと、
ミラは「よく知っているわね♡」とだけ言い、
笑顔を崩さずに容赦のない『お礼』をした。
そして男たちはひとり残らず
病院送りにされた。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
……如何でしたでしょうか。
黄昏校の生徒のその後含め、
もの凄くありきたりなネタだったと思います。
ナツのセリフは皆さんのご想像にお任せします♪
僕的にはナツがキャラ崩壊してる気がしてやまないです。
次は多分グレルー版です。
絶対長いです。
ではでは~。| 壁 |д・)ノシ