髙良大社本殿の展望台から眺めると、筑紫の祭祀が見えてくるようです。
筑後川が、蕩々と流れその向こうに四王寺山、宝満山を望みます。

筑紫神社は、宝満竈門宮を祀る神社です。
神武天皇の母とされる玉依姫命が、祭神です。
海の神の姫として山幸、山の神宝満山に配されているのでしょう。

美しい海の姫君を迎えた山の神さまは、大層喜ばれ
山は恵みを与えてくださる。
海の姫君は、水の神さまともされています。
玉依姫は、龍馬に乗って飛び去ったとされますが、
龍神は、水の神さまです。
山から流れる川、川の水源は山にありますから
そこを守る姫神さまです。

八女の山には、いつも八女津姫がいらして矢部川の水源を守っていらっしゃると言います。
宝満山には、海神の娘玉依姫さまです。
その女神さまを筑紫神社でお祀りしているのです。
筑紫君と火の君が、祀っていたとされます。
筑紫の国魂ともされる神社です。

宝満山から流れる水は、北は御笠川となって博多湾に流れ込みます。
南は、支流から筑後川に流れ込み有明海に至ります。
筑紫の国を縦に2本の川が、潤していきます。
近年の研究では、山が整備されていると、山からミネラルなどの栄養分が川から海に流れ海産物を養うと分っています。
川は、田畑を潤し、人々の暮らしを支えながら
海に出ると、海を豊かにするのです。
昔の人も経験値からそれを知っていたのかもしれません。

海の神の姫君を山の神に嫁がせて水を清め川の流れを良くして
やがて海の恵みへと繋げていく。
海が豊かになれば、海の神さまが喜びます。
海の神さまが、喜べば、海の幸を得ることが出来ますし、
航海の安全に繋がるでしょう。

このように筑紫神社の祭祀、宝満竈門宮のお祀りは、筑紫の自然を巡回し、多くの恵みを与えてくれるようなお祀りです。
髙良大社から眺めていると、分りました。
筑紫神社では、豊作を願って粥占いが、行われています。
川が、田畑を潤し、天に昇った水が、雨となって降り注ぐ、太陽の光と自然の恵みを受けて実りがありますように。
筑紫神社のお祀りです。

筑紫の祭祀は、分りやすく、人々も王の祈りを共に祈ったように思えます。

魏誌には、邪馬台国(邪馬壹国)は、南の方向で記されています。
本当は、東だったかもしれませんが、
魏誌だけを読むと、南になっています。
魏誌を頼りにそれに従って邪馬台国(邪馬壹国)を求めれば、筑紫君か火の君の所領になります。
東と訂正されたのは、隋書です。
筑紫君の象徴とされる石製表飾は、魏誌の邪馬台国(邪馬壹国)を意識して配されているように見えます。
火の君、豊の君をも含んで散見される石製表飾です。

帯方郡を高句麗が、占領していますから
倭国に助けを求めようとした人たちが、向かうのは、魏誌に従えば、筑紫君、火の君に行き着く可能性があります。
日本の皇紀には、筑紫の臣たちが、高句麗を討つと記載されています。
韓半島の百済には、筑紫の軍人達が、配属されていた前方後円墳があります。
この墓には、百済の金銅製冠が副葬され百済王が、承認した諸侯を意味し、筑紫と百済の深い繋がりを示しています。

八幡さまは、応神天皇、神功皇后、玉依姫命です。
玉依姫は、神武天皇のお母様です。
筑紫の祭祀では、宝満山の守り神で海の神の姫、水源の女神、縁結びの神さまです。
三柱の神さまが、並ぶことが重要だったのではないかと思えます。

髙良大社には、武内宿禰と壱岐真根子が、祀られていました。
深く考えさせられる祭祀だと思います。
誰もが、過ちを犯してしまう可能性があるのだと思い至りました。

筑後風土記には、磐井君を取り逃がした物部の兵達が、怒って石人石馬を切ったとし、
そのために八女には、手や足が悪い人がいるとされています。
磐井の乱の後、多くの人が物部氏の部民となっていますが、
手や足が不自由な人がいたりそれで働くことが出来ない人がいると、
筑後風土記の記載は、物部氏には辛かったのではないかと思いました。
後に部民は、聖徳太子の上宮王家や蘇我氏になりますが、変わるべくして変わった感はあります。

磐井君の岩戸山古墳からは、夥しい数の土器が、出土していて
磐井君亡き後、供養する人たちが多かったことを示しています。
当時、土器を手に入れられる人は、ある程度身分が高かった人たちです。
もしかすると、物部氏の方からもお供えする人が、あったのではないかと思っています。

節信院には、閔妃を供養する子安観音様がありますが、
これを作りお供養していたのは、閔妃を殺害した実行犯たちです。
日本の剣客、侍は、優れた人ほど、自分が切った相手をお供養していたとされます。
戦争中、亡くなられた方々を敵味方の区別無く、ご供養されていることはあります。
むしろ米軍や連合国軍だった人やそのご遺族をお招きしてご供養をしていることもあります。
それが、平和への願いとなり亡き霊をお慰めすることになるのでしょう。