「ツナグ」 辻村深月 新潮文庫 ¥630 | 尚やのブログ / 読んだ本の備忘録

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小説大好き。通勤途中に読んだ本を忘れないように日記感覚で書き残します。


一生に一度だけ、希望する死者と会う機会を作ってくれる「使者(ツナグ)」がいるという。

ルールは…、
死者と会えるのは一生に一度だけ。使者(ツナグ)はリクエストされた死者と交渉するが、その死者もそのリクエストに応え生者と会えるのは一度きり。断ることもできる。

1編目の物語は、人とのコミュニケーションが苦手なパッとしないOL。その彼女が会いたいと使者(ツナグ)に依頼したのは、3ヶ月前に謎の突然死をした元アイドル。もちろん会ってくれることは期待していなかった。しかし、その元アイドルは会うという。「平ちゃん、死ぬつもりでしょ」。

死者に会うのにお金はいらない。その代償は死者に会った感想を使者(ツナグ)に伝えること。
そして、今回の依頼者の感想は、「アイドルってすごい」。


5編からなる章に分かれており、その1編目が先程紹介した「アイドルの心得」。
2編目が「長男の心得」。
3編目「親友の心得」では、死者に会うことによって、必ずしもハッピーな再会ばかりではなく、生者がその後の人生を後悔を背負って生きていかねばならなくなることもあるという話。
「え、そんな~。」って思ってしまうくらい読んでて辛くなった。
4編目「待ち人の心得」では、3編目で暗い気持ちを少しだけホンワカさせてくれるお話でした。
そして、最後の5編目。「使者(ツナグ)」がどうやってその力を得ていくのか、歩美が使者(ツナグ)になっていく過程を描きながら、1~4編の物語を死者側から見た話として種明かしをしていく。

生者は死者と一度だけ、死者も一度だけ、会えるという設定がまず面白い。使者(ツナグ)という仕事(役割)は果たして誰のためなのか?やはり生者のためなのか?
考えさせながら読み進んだんだけど、正直、もう少し単純に「泣かせ」てもらえるって思ってたから、「よぉ~し、そろそろ泣かせてもらかるかなー」なんて思ってたら、「え、そんだけ!?」って感じで肩透かしにあったような…。
もうちょっとネタバレてもいいから単純に「泣かせ」て欲しかったかも。

ま、話題作だけあって、十分に楽しめた一冊でした!!


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