納豆風呂
最近あまり見なくなったが、雑誌の後ろの方に「金運の数珠を買ったら宝くじが当たりました!」と誇示して札束の風呂に入る人物の写真を載せた広告があった。真偽のほどはさて知らず、福沢諭吉に溺れるくらいなら、納豆に溺れればいのに、と思う。
あんな大量の札束を家の風呂に運ぶ労力はもちろん、現金を家に保有するリスクはいかばかりか。わざわざ銀行からおろしてあんな写真を撮ったのだろうから、ご苦労としか言葉の掛けようがない。それに、お札は独特の臭いがあるから、染み付くおそれがある。誤って蛇口をひねってしまった日には、目も当てられない。
これが納豆なら納得できる。大量の納豆を混ぜる努力は必要だが、これは楽しい作業なので苦なくできる。仮に浴槽が二百リットルだとすると、納豆一パックにつき体積が四十ミリリットルあると仮定して、わずか五千パックで済む。三パック入りの商品がほとんどなので、一六六七個。一個百円として、十七万円でお釣りがくる計算だ。札束風呂と比較して、なんと経済的なことだろう。
また、パックを開け、かき混ぜ、風呂に入れる一連の作業については、実験してみたところ一パック平均九・七秒でできた(風呂に入れた納豆は後で美味しくいただいた)。なので、一六六七パックだと一六一六九・九秒、つまり四時間二十九分でできてしまうのだ。大量の納豆を買い揃える時間は別に必要だが、銀行で煩雑な手続きをするのと、どっちもどっちじゃないか。
さて完成した納豆風呂はもちろん食べることができるし、浴室がいい匂いで包まれるメリットもある。片づけも楽だ。白米持参で友達を呼んで仲良く食べればいいのだから。友達に驚かれること間違いない。