親愛なる読者のみなさんへ
今日は、ぼくの過ごした特別な一日をみなさんとシェアしたいと思います。大事件があったわけではありませんが、ぼくのブログの日本語訳をしてくれている青柳先生と再会を果たして、一日を一緒に過ごした貴重な一日についてお話しします。青柳先生はアルジェ国際漫画フェスティバルと、それを機におこなわれた日本大使館による創作漫画コンクールに参加するためにアルジェリアを訪れたのです。ぼくの方は残念ながら仕事の都合でフェスティバルには参加できなかったのですが。でもその代わりに、青柳先生にアルジェの魅力を別の角度から紹介できればと思い立ったのです。
まずはオーダン広場の近くで、ゆっくり朝食。ここはアルジェのおしゃれな中心街。朝、最初に青柳先生の姿を見たとき、ぼくの中には、ついに、この、ぼくの街で歓迎することができる誇らしさが湧き上がってきました。入ったお店は「ベイカーズBakers」という小さなカフェ。挽きたてのコーヒーの香りとおいしそうなメニューに迎えられて、今日という日がとびきりの一日になる素敵な予感がしました。注文したコーヒーやチーズケーキやクレープのおいしさに加え、なによりも楽しいおしゃべりと見交わす笑顔のおかげで、格別にきらきらした時間を味わいました。
青柳先生はぼくの子どもたちのためにすばらしいお土産をいろいろ持ってきてくれました。息子は、トランスフォーマーのコンボイのプラモをもらい、目を輝かせて大喜び。娘には、かわいい服。これから着れるようになったら、お気に入りの洋服になるでしょう。先生のこうした心遣いも、私たちの再会にいっそうの温かみを添えてくれました。
それから地下鉄に乗って、最初の目的地である「太守宮」へ向かいます。「殉教者広場」駅で降りた時から、アルジェの長い歴史が刻まれたこの場所を案内できることに興奮を禁じ得ませんでした。地下鉄のこの駅そのものが、ローマ時代やイスラム初期などの遺跡が層をなす、公開博物館の様相を呈しています。アルジェを代表する建物であるグランド・モスクとケチャワ・モスクを眺める先生の目が感嘆の思いで輝いているのを見ると、ぼくも感激を覚えました。一緒に歩き、先生の目で自分の街を見ることで、アルジェがいかに豊かに歴史と物語と文化に彩られた街であるかをぼく自身が再認識することができました。
「第 23要塞」とも呼ばれる太守宮に到着し、ぼくは先生に、ここがオスマン時代の宮殿で、アルジェが地中海で非常に重要な役割を果たしていた時代を今に伝えていることを説明しました。まるで壁の一つ一つが、いにしえの物語をぼくたちに語りかけてくれているようです。そのうえ幸運なことに、海上で活躍した太守たちの展覧会とアルジェリアの服飾についての展覧会がちょうど開催されていました。たくさんの部屋を見て回り、それぞれの場所で魅了されている先生の顔を見やるうちに、ぼくまでが歴史の魅惑にすっかり浸っていました。
お昼が近づき、お腹が日常を思い出させてくれました。実はよい昼食場所を思いつかなかったので、モントリオールに住んでいる兄に相談してみたのです。兄が勧めてくれたのは、魚料理のレストランでした。教えられた場所をめざして正午の強い日差しを浴びながらしばらく歩いてたどりついたのは...、なんと魚市場! え? とびっくりしましたが、これはおもしろそうだ、とわくわくしてきました。新鮮な魚介類が並ぶ売り場で、食べたいものを自分で選び、すぐさまそれを調理してもらう、これは初めての経験です。タラ、ニシン、イカ、どれもとびきりのおいしさ!でももちろんこの昼食に最高の感激を添えてくれたのは、この稀有な経験を青柳先生と一緒に経験できたということです。
昼のごちそうのあとは、アルジェ近郊にある有名なリゾート港のシディ・フレジュへと向かいます。海岸に沿って車を走らせながら、ぼくは先生に、この港が歴史的にとても重要な場所であることを話しました。フランス軍が1830年にここから上陸し、植民地支配の端緒となった地なのです。こんにちでは、ヨットのクルーズを楽しむ人や加海岸を散策する人々が憩うレジャー・スポットとなっています。ぼくたちも、心地よい潮風に吹かれながらのんびりし、日本とアルジェリアの海岸を比べて思いつくままにぽつぽつとおしゃべりを交わしました。シディ・フレジュでのこのゆったりとしたひとときは、まるで時が止まったようで、一日のとてもすてきなアクセントになりました。ここで静かな時間を過ごした後、また次の場所へと出発です。
次の訪問場所はアルジェ郊外のシェラガにある「ガーデン・シティ」というショッピングモールです。到着してまず立ち寄ったのはスラヤという書店。まったく偶然なことに、ここでぼくらはたまたまムルド・フェラウーンの遺作小説である『薔薇学園』La Cité des Rosesという本を見つけたのです。なんとそれは、青柳先生があとがきとして論文を載せ、刊行に大きく関わった書物です。ぼくは迷わず、自分用と両親へのプレゼント用に2冊を買い求めました。青柳先生は2冊ともに、快く直筆の献辞を書いてくれました。この出来事も、ぼくたちが一緒に過ごしたこの日を忘れがたい貴重なものにしてくれました。
この本を書店で偶然見つけるという、信じられないような出来事の驚きに興奮しながら次に向かったのは、アルジェリア方言で「銅の盆」を意味する「スニ」という名のカフェです。ここはアルジェリアの伝統と現代性とがミックスされたとてもおしゃれな空間です。各自好きな飲み物を注文し、そして気に入ったお菓子を自分たちで選んで席へもってくることができます。どれもみな、すばらしい銅の盆に盛られているのです。ここでのリラックスした快適なひとときも、感動の連続だったこの一日をさらに華やかに彩ってくれました。あとは帰るだけ!
夕方の渋滞にまぎれながら一時間ほどドライブして、ぼくの自宅に到着し、晩餐は家でのバーベキューです。あふれる笑顔、尽きないおしゃべり、そして焼肉の香り。この時間をみなで一緒に楽しめる幸せの貴重さにぼくは陶然としました。先生をホテルまで送り届ける途中で、最後の訪問場所として「大モスク」に立ち寄りました。遅い時間なので中には入れませんが、その巨大な姿は圧巻。青柳先生も写真をしっかり撮って、美しくイルミネーションで飾られたその威容にすっかり呑み込まれていました。
というわけで、ぼくの普段の日常を離れた、本当に完璧な一日でした。先生をおもてなししながら、その目を借りて眺めるアルジェは、ぼくにとってもすごく新鮮で、この街の魅力を再発見することができました。先生にはぜひまた来訪していただいて、この冒険の続きをやりたいです。そしてこのブログの読者であるあなたも、いつかアルジェに来ることがあったら、ぜひぼくに連絡をくださいね。ぼくが心から愛してやまないこの街のすてきな秘密を、喜んでご紹介しますからね!



















