「舞台芸術公演における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」の廃止について



コロナ禍の舞台芸術は

このガイドラインをもとに催行されてきた。


それが全て本日で廃止となった。


もちろんこれで全てが終わったなんて

1ミリも思っていません。

ただ、ちょっと振り返りたくなった。

今日は2020年から始まった

コロナ禍を振り返るブログです。




2020年2月の終わりから

コロナ禍に突入して

いろんな業界が大打撃を受けて


自分が主としている演劇界も

もろにダメージを受けた


私のコロナ禍の打撃の始まりは


2020年5月〜6月催行予定だった

【PARCO 佐渡島他吉の生涯】

全公演中止でした。



稽古開始前に緊急事態宣言が出て

稽古開始延期、延期、延期…

ついに全公演中止が決定した。


延期ではない、中止。

出会いたかった魅力的な方達に

1度も会うことがかなわず、終わった。


悔しいというか、ぽっかり、だった。


でもこの時はこんなに長引くとは

思ってもみなかった。


"今だけの我慢"


そう思ってた。


そこから自宅で自粛の日々。


【演劇は不要不急】


とくに普段 演劇を見ない方からの

冷たい言葉がサックリ刺さる。


なんの反論もできなかった。

ただ言われた通りにじっとしてた。


そうか不要不急なのか

まぁなくても生きてはいけるよな

じゃあ私にとって演劇ってなんだ


ずーっと考えてた。


空いたスケジュールは埋まることなく

ただ時間だけが過ぎていく中


日課となった、"マラソン"と"歌"。


毎日決まった時間に

ご近所さんと待ち合わせして

7キロ走るところから一日をスタート。


そのあと近所の公園に行って

1人でずーっと歌ってた。


毎日何時間も公園のすみっこで

自分のために、歌って過ごしてた。


歌ってたら楽しい気持ちになる。

そんなシンプルなものだった。


その頃の私は

まちがいなく音楽という芸術に救われた。


不要不急なんかじゃない

でもそれを声を大にして言う力がない

""自分にとっては""

心が生きていくために

芸術は必要不可欠なんだ。

それを再確認できただけでも嬉しかった。


ちなみに毎日走り続けた結果

フルマラソンにも出場しました(笑)

それについてはまたいつか…


そして、夏からようやく舞台出演がかなう。


2020年8月

【DMM 舞台炎炎ノ消防隊】


アンサンブル・少年たっくん


2020年10月

【青年座 ブルーストッキングの女たち】




↑ちなみにこのお芝居YouTubeで観られます

青年座が作品の映像フルで流すのはなかなかないです

(女中、一、魔子の3役やりました


2020年12月

【青年座 横濱短篇ホテル】

演劇鑑賞会 中部・北陸ブロック旅公演


ノリ打ちバラシながら、ギャルしてた笑


2021年2月

【青年座 シェアの法則※演出助手】


スタッフサイドの気持ちも学べた


2021年4月

【PARCO モダンボーイズ】



舞台に立てる喜びを噛み締める

ありがたい日々が続いていた


しかし、ここからまた打撃が始まる。


またも発表された緊急事態宣言。

「また大阪で!」と言ってお別れしたあと

モダンボーイズは大阪公演が全公演中止。


みんなとまともなご挨拶もできずに

気づいたら、終わっていたことは

やはり心残りがある。

明日があることは当たり前ではないと

改めて思い知った。


そして、そのあとの出来事が

忘れられない。


夏に決まってた舞台が

なかったことになった


端的に言うと

私のキャスティングは

忘れられてしまっていた


すごく楽しみだっただけに

まぁ〜、心にダメージ(笑)


自分なんていなくてもいい

いくらでも替えの効いてしまう存在なんだと

思わざるえなかった


だけど

"そういうもんなんだ"と

今まで無理やり納得してきたことに

少しずつ疑問をもてるようになり

自己主張することの大切さを

学び始めたのはこの頃から


アサーティブコミュニケーションを

知ったのもこのとき


相手に何かを伝えるとき

「〜だから、私は悲しくなりました」

と、まずは気持ちを伝えていいことを知った


相手にはもちろん

自分に対しても誠実でいることの

大切さと難しさを知った


歯を食いしばってきたことが

多い人生だったけど

我慢すりゃいいってもんじゃないと知った

しかし考え方の癖を変えるのは難しい

未だに自分の思考回路に凹むことはよくある

トライアンドエラーです


そんなこんなでこのとき

悔しさを原動力に何か動きたくて

自主企画の配信演劇を2本やった


反省点ものすごく多い

本当にたくさんのことを学んだ

人を巻き込むことの大変さを知った

一緒に創ってくれた皆様

ありがとうございました


2022年1月

【DMM炎炎ノ消防隊】

また呼んでもらえることって

すごく嬉しいんだなと知った。


いただいたのは、アンサンブル

"ヒナタ"

として表記してもらえるような

俳優になりたいなと思ったのを覚えてる。


しかし、こちらは大阪公演の開演数分前に

全公演中止が決定した。

演劇界ではこんなことがざらにあった。

いや、今もある。


衣装着てフルメイクで

スタンバイばっちりで

なんなら円陣まで組んで

我々にとっても、まさに寝耳に水。


客席に座ってワクワクしているであろう

お客様の気持ちを思うと

本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


しかし発表のあとに客席から聞こえた拍手。

落胆の気持ちを抑えてのエール。

涙止まらんかったなぁ。


開演数分前に中止決定

これは今催行している

ハリー・ポッターの現場でもあった。

あの時の現場の空気

みんなの表情

ちょっと表現しきれない。


本当にいつ何があるかわからない

そんな毎日を過ごしていた、

過ごしている、コロナ禍。


やりたいという感情だけで判断できない

〈ガイドライン〉に則って催行

しかしどの程度の補償があるのかというと

ほとんど無いことも多かった


私自身がそうであったように

自分を見つめ直す時間がたくさんあって

新しい道に踏み出した仲間もいる

関係性が終わってしまった人もいる


ポジティブな気持ちだけでは

振り返ることができないくらい

いろんなダメージをくらったコロナ禍


当たり前ではない毎日

いつ何があるかわからないけど


いろんな思いを忘れたくないなと思って

振り返ってみました


ガイドラインが廃止されたとて

もちろん終わったなんて1ミリも思ってない

でも忘れたくない、これからのために。


戦いは続くけど

毎日を楽しく

生きていきたい

早くコロナどっかいってくんねーかなー

(本音すぎる本音笑い泣き


橋本菜摘