数日か長くても数ヶ月後に千穐楽を迎える
”ゴールを見据えて走る”
通常の公演と

最初は見えなかったゴールが
”だんだん近づいてくる”
体感のロングランは

まさに
短距離走と長距離走のように
全く別物だと痛感しています。

開幕から約1年8ヶ月くらい経ち
自分を振り返ってみると

今まで570ステージほどやってきた中で
自己都合で身体を壊し
お休みをいただいたことが
私は2日間(3ステージ)ありました。

調子が悪いことはあっても
乗り越えてきたそれらと違って
どう努力しても難しい状況は初めてで

どうしよう…
と絶望したことを思い出す。

その時私を救ってくれたのは
”カバーの方の存在”でした。

”ももちゃんがいる”
当時カバーしてくれていた佐竹桃華ちゃんは
私の大きな精神の支えでした。

ももちゃんに代わってもらって
1日休んで少しは良くなって
完治ではないけど
ちょっと無理をすれば
次の日は出られる状況になった。

でも
「これはロングランだから。
先は長いから無理はしないで。」

そう言ってもらえて、
今頑張ることで症状を長引かせるのではなく
まだまだ続く公演を走りきること
それが重要なんだ!
と切り替えて
素直に甘えて連休をもらったんです。

いざと言う時には
支えてくれる人がいる。
今だと大内慶子ちゃんと
倉澤雅美ちゃんです。

いつもありがとう。

もちろん私の役だけではなく
1つの役に1〜3人くらいカバーがいる。

この体制は通常の公演では
当たり前に作れるわけではない。

でもこれがないとロングランはできない。

体調を整えることは
かなり気をつけているし
ある程度までの無理なら
やってしまうけど

それでも人間だから
当たり前に、何か起こる。

この現場に
努力を怠っている人なんかいない。

それに体調不良だけでなく
予測不能ないろんなことが起こる。
生きているんだから。

自分もそうだったし
いつまた起こるか分からないし
その時に助けてもらえる状況ならば
素直に甘えさせてもらおうと思ってる。

それはもちろん
無責任になるということではなくて
責任もってしっかり全うすることは
大前提として思っているし努めている。

でもなんかそこを通り過ぎた
信頼と絆のような思いがあって

その精神安定剤がないと
ロングランはできない。

だからこそ、自分に対しても
そして仲間に対しても

大丈夫だよ〜!
そういうときは全然あるよ〜!

と、思い合っていたい。

そう思えるのは、先述した通り
カバーしてくれている方々の存在。
最大限の敬意。

私はアンダースタディで現場に入ったことが
何度かあるけど、
あの時のモチベーションの置き方には
苦労した覚えがある。
結局私の出番はなく終わった。
本当に簡単なことではない。

私たちは開幕してからもずっと
毎朝稽古している。

1日も欠かすことなく
本当に毎日何かしらの稽古をしてる。

加えて終演後に
ガッツリ稽古がある時もある。

なんで未だにそんなに稽古してるの?
と同業者には驚かれるけれど

それはカバーしてくれる方々の
存在があるから。

立ち上げ時は2ヶ月以上稽古して
さらに2週間のプレビュー期間があって
本公演が開幕した。
たっぷりあるように見える稽古時間でも
足りないくらいに
見たことないほど複雑な舞台だった。

そんなに十分な時間稽古できるかといったら
そういうわけにはいかない。

自分の中のイメトレだったり
予習だったり
その人の努力でもって
仕上げてきている。
見ていると本当にすごいなぁと思う。

デビューが決まっていない
いつ出番と言われるかも分からない中
ひたすら稽古を重ねる日々を送り、
その"いざ"というときがきたとき
ものすごい重圧に打ち勝って
信じられないような
見たこともないような力を発揮するのを
目の当たりにして
あまりにもドラマに溢れてて泣けてくる。

この舞台はそうやって
止めることなく続いている。

1人で5役担当してる人もいたり
本当に凄い
プロフェッショナル陣

これは当たり前ではない。
もう少し余裕をもって挑める方が
いいに決まっているけど
それでも何とかしてきた人達が
たくさんいるわけで。
やっぱり讃えずにはいられない。

すごい。

すごいしか言えない。

俳優も人間。

お休みすることは
全然悪いことじゃない
ロングランなんだから
誰にでも起きうる
明日は我が身
自分を責めることではない

こうやって毎日公演できている
みんなで支え合っている

そのことに感謝して
最後まで走りたい






どんなコースを走るのか分からぬまま
走り出したフルマラソン

全く見えなかったゴールが
ようやく見えてきた

それもだんだん近づいてきている

6月23日の卒業まで
あと3ヶ月を切った。

走り抜くことを目標に挑む
フルマラソン

どうかみんなで最後まで!!

橋本菜摘