有名なトロッコ問題



倫理学的な思考実験の一。暴走するトロッコ軌道上に5人の作業員がいて、そのまま放っておけば5人は轢死れきしする。自分が分岐器を作動させれば、トロッコは別の軌道に入るが、その先にも1人の作業員がいる。この場合、「自分」はどのような選択をすればよいかという問い。特定の人を助ける代わりに、別の人を犠牲にしてもよいかという倫理学上のジレンマを扱っている。


(コトバンクより引用)


思い出が蘇ってきた勢いで書き連ねる。



これを初めて知ったのは中学3年生くらい?

多感な時期だった私は

この問題の深さ複雑さ

回答にかなり悩んだ。


どの結論を出しても

自分を責めてしまうし

でも何か答えを出さなくてはいけないし

考えれば考えるほど

"正しい"答えが

…いや、多分ちがうな、

"人から嫌われない"答えが

分からなかった。


先にいる6人との関係性によっては

答えが変わるかもしれないけど

この場合は全員が他人という前提。


5人をそのまま見殺しにするか

1人を自分の判断で、手で、殺めるのか


どうするだろう、

どうしたらいいんだろう、


当時一緒に暮らしていた

〈ジャイ〉に


「こういう時ってどうしたらいいん?」

と聞いてみた。


ジャイは保護者的な立場にいた存在。

だから正しい答えを教えてくれたり

ヒントをくれるんじゃないかと思った。


ちなみにジャイは、

ジャイアンから取った、ジャイ。


お前のものは俺のもの、

俺のものは俺のもの、

まさにそういう生きザマ。

未だにあんなに強烈な人見たことない。

そのへんのドラマに出てくる人より

よっぽどハチャメチャな人だった。

でも家族に関しては

どんな手を使ってでも守ろうとしてくれた。


ジャイなら

ネットにもある第3の手を編み出したり

道徳的な何かを教えてくれると思った。


でも回答は全然ちがった。


誰に何を聞いても

言われたことない言葉だった。


ジャイは言った。



「逃げろ」



と。


ビックリした。


""逃げる?""


そんな選択肢こそ

圧倒的に用意されていないと思ってた

発想もなかった


だって、それって、

あまりにもズルくない?


ジャイは続けた


「どっちを選んでも一生抱えるやろ。そんな選択しやんでいい。なっちゃんにはずっと幸せに生きててほしい。だから逃げてな。」


と。


父親ってどういうものか

私には分からない。


もしかしたらこの教えは

普通の教育的にはダメかもしれない


一般的ではないことが

普通じゃないことが

いっぱいあった人生だった

普通を装うことばかりしてきた


でも道徳とか倫理とか

そんな難しいこと置いといて

あのときまず第一に

私の幸せを考えてくれたのは

自分勝手といわれようとも

娘だと思ってくれている

何よりの証拠で

愛だったのかなと思う


そう言ってもらったからといって

その状況になったとき

私はきっと逃げられない気がする

でも絶対的に味方でいてくれる存在が

いるということを支えに

何かしらの決断をするのだと思う


そんなジャイもあっさり居なくなった

人との絆はなんと儚いものなんだと

何度思い知ったか分からない人生


でも

愛してくれてありがとう


高校生の時に突然

夢を見つけてからというもの

今はこうやって毎日

赤坂で演劇しているよ


どこで何をしているかも分からないけど

いつか私の名前が届いたらいいな


嫌でも思い出させてやりたい!

そんな日がくるよう、がんばるぞ!



家族のことを書くのは勇気がいるけど

たぶん私が1番書きたいのは家族のこと。

勢いで書いたから怖くなって消すかもだけど

今日も読んでくれた方、ありがとう。



橋本菜摘