ヌノが帰国した。

我々を導いてくれた

ムーブメント補のヌノが。




ヌノとの思い出を振り返ると

とてもとても書ききれないのだけど

一番最初に驚いたエピソードを書くとするなら


稽古初日に全員の名前を覚えてくれていたこと


です。


だって私たち、ただでさえアジア人。

顔の区別つけることから難しいはずなのに。

それに耳馴染みのない名前ばかりで

発音しづらい音もいっぱいあるだろうに。

さらに極めつけの、マスク。

こんなの普通は絶対、

誰が誰とか分からないでしょう。


なのに


ここの動きをお願いしたいのは

〇〇san〜、〇〇san〜、〇〇san〜、

って、メモも見ずに顔を見て呼んでくれて。


全てを把握してくれていた。

マトモにお話する前から。

こんなに人数多いのに。


名前も顔も覚えるのが激苦手な私は

「え、ほんとに私を呼んでくれた?」って

ちょっと信じられなかった。


別に役名でローズって呼んでくれたって

それはそれで認識してくれてることが

すごいことだと思うし、十分に嬉しいのに。


ナツミサンって呼ばれて

私はここに居ていいんだって

言われてる気がして安心した。


この日を迎えるまでに

どれだけの準備をしてきてくれたんだろう。


必死についていこう!!って決めた。


しかし求められているものが

難しいことも多々あった。

何かが上手くいかないそんな時は

絶対に理由や原因を私たちが言葉にするのを

待っていてくれた。


問題を解決するために

何が必要か、どうすればより良くできるか、

常に一緒に考えてくれた。


何度やっても上手くできないとき

「なんで出来ないんだ!」

って言うでもなく、諦めたりするでもなく

「僕に手伝えることはある?」

って本気で思って聞いてくれた。


ただただ能力的に追いつかない場合、

何回もやれば大丈夫!

最終的にできればいいんだから

ていうか焦らなくてもみんな絶対できるから

あ、それと、休憩時間は休憩してね :)


といったように、

プレッシャーを一切感じることもなく

だから私たちも伸び伸びやれて

気づいたらできるようになっている事が

たくさん増えていった


ヌノの教えが上手いのはは心に響くのは

実感をもって教えてくれる

というポイントも大きい。


なんといってもヌノ・シルヴァさんは

2016年ロンドン パレスシアターでの

ハリー・ポッターと呪いの子

世界初上演の、初演メンバー。




ベイン役をやりながら

振付リーダーも務めていた人物。


当事者の言葉がけは、

俳優の気持ちに寄り添った

誰よりも理解の深い言葉だった。


ヌノは私たちがついていくのを

信じて待っていてくれた、と思っていたけど

振り返ってみると

そのはるか先の姿勢だったんだと思う。


できるようになる。そのために僕がいる。


というような。


絶対的なクオリティに持っていかないと

いけないプレッシャーもあるはずなのに

そんなスタンスでいられる人って

一体どれだけいる?


人生何周目ですかっていうような

ちょっと とんでもない人だった。


サヨナラが寂しすぎて辛すぎて

帰る数日前はもはや私は

まともに目を見ることもできなくて()


ヌノはそんな私を見て

Don't cry!!!  I'll be back!!!


って、わりと本気な顔で言ってくれた。


そうだね、その通りだね、

でも寂しいもんは寂しいんだよ。って

心の中でそっと唱えていた。笑


せめて深い感謝を伝えたかった。


だって私の人生に

物凄く影響を与えてくれた人物だから。


喜んでもらうためにできることは

と考えた結果、似顔絵を描くことに。

決して上手くはないし

万人受けしない絵の自覚はあるけど

愛情は込められる!と思って。


それで、前の記事になるわけです。




ここで大急ぎでヌノグッズを作った。


そしてお別れの日を迎えるわけです。


…ちょっと長くなってるので

当日の話は

次の記事にしようと思います笑い泣き


思いが溢れすぎ!!笑



橋本菜摘