2046 「1」という隔たりと借り物 | ・・・の続き

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エヴァ・オーリンも、ペ・ドゥナも、まとめて好き。

1225→1226
2046→2047

1日の隔たり。
1年の隔たり。
壁ひとつの隔たり。ひとりの隔たり。
過去と未来と今の隔たり。


「1」という数字で集約してしまうさまざまな変化を
わたしたちはいつも抱えてるのだが、
知らん顔で通り抜けたフリをする。

主人公チャウと監督wkwは、
その現象の隙間に、逃げ道なのか、ツクリモノを置く。
ツクリモノには過去を付け加えることが可能だからだ。
隙間を埋め、過去に言わなかったコトバを置き
言ってほしかったコトバを、聴かせる。
「イクワ。イク。」
「1」を抜けられず混迷する。
「変わる」「変わらない」
変わることを一番恐れていたのはチャウ。

そして、すべてが「借り物」のアイテム。
香港という街も「間借りだった」
運命の2047年にソコに立つものは、
チャウのように 2046号室でヒトを愛したふりをして
薄い壁を隔てた2047号に戻り、
過去の記憶を抱擁し続けるのかもしれない。

「貸し」「借り」の一夜は、束になり。
ツケは、街や国を越える。
アンドロイドが指で輪をつくり、そこに過去を埋め込めといわれても
やはり過去は自分から切り離せないのだ。
その指の中に告げても、木に穴をほってそこに告げても
次はその指や木が忘れられなくなるものだろう。

ループ。「1」のループ。
貸す未来。返す過去。
わたしも「1」のループの渦。

時々、その中を舞う、蝶のような黒い手袋。
文末を書き換えることに躊躇するオトコのペンに止まるのか。


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著者: マガジンハウス, 平凡出版=
タイトル: 2046―映画「2046」フォトブック完全版