11月に菊正宗さんの通信講座プログラムである終日スクーリングに参加しました。
講座受講者であれば、東京か神戸いずれかのスクーリングに参加できます。
神戸のスクーリングは講義、唎酒体験に加えて蔵見学ができるという贅沢プラン。
しかも、講義や見学の案内をしてくださるのは、生産部で実際に製造に携わっている方です。
見学したのは以下の施設です
<菊栄蔵>
四季醸造の行われる建物です(7階か8階建て?)。
1ブロック離れた精米所から精米された米がエアシューターで建物の屋上まで運ばれ、そこから蒸し、放冷、製麹、酒母、仕込み、搾り…とフロアを下りながら各工程が進みます。
醪のタンクがものすごく大きくてびっくり。
そして貯蔵タンクのフロアも迫力がありました。
ここに70以上あるのだそうです。
<宮水井戸>
灘の酒造りを支える宮水が湧く井戸へ車で移動。
菊正宗さん専用の敷地にいくつか井戸があります。水の成分は井戸ごとに少しずつ違うということです。
<菊正宗酒造記念館>
ここは一般公開されている記念館。
昔使われていた道具が展示されています。
ギフトショップでは、有料で試飲ができるので、お客さんでにぎわっています。
130年ぶりの新ブランド「百黙」もあります。これは香りが深くて美味しかった!
<樽酒マイスターファクトリー>
樽酒を作る樽の作業場および展示館。この日は見られませんでしたが、職人の方による製樽(という言葉があるのですね)の実演もしています。吉野杉のよい香りがします。
<盃展示館>
最近オープンした、酒器の展示館です。日本各地の焼き物が展示されています。
通信講座のテキストにさまざまな酒器の写真がありますが、それらの実物を見ることができるのです。
セミナースペースのようなところがあるので、酒器による味わいの違いなどのイベントもあるのかしら。
<唎酒体験>
4つの異なるセットで唎酒をしました。
アルコール度数や、日本酒度の高い順に番号をつけてみました。
日本酒度を外しまくりがっくり。
私はおそらく、アルコール度やガス感に惑わされて甘辛度を誤るのですよね。
乳酸、リンゴ酸などの有機酸を唎きわける唎酒ならぬ唎酸は特に面白かったです。
リンゴ酸はさわやかで、コハク酸はコクがある…というのはテキストでは読んだことはありましたが、実際に唎いてみると、なるほどその特徴がほんのり感じられます。
きょうの酒英語
The wells that have supported Nada sake are fed by three underground streams.
灘の酒を支えてきた井戸群には、3つの伏流水が流れ込んでいる。
▶well 井戸
▶fed feed(供給される)の過去分詞形
▶underground stream 伏流水
今日の酒英語は、講義で触れられた宮水について。
活発な発酵を促す硬水の宮水は灘の酒造りを支えてきました。
3つの伏流水のうち、2つは縄文時代に海だった場所を流れることでミネラルを豊富に含み、1つは酸素を多く含むため鉄分を酸化鉄にします(鉄分は酒を褐色に変色させ、香味を損なう)。まさに酒造りのために湧くような恵みのお水ですね。
以下のサイトにわかりやすく説明がありました。
楽しいお酒.jp 「『宮水(みやみず)』って何? その正体を解説」
神戸新聞 「風と水と土と ひょうごテロワール(2)六甲の恵み 灘五郷生んだ『奇跡の水』」
https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/terroir/202110/0014805700.shtml
講義では生酛づくりの特徴についても説明されました。
アルコール耐性があるとか、パルミチン酸とか、ペプチドとか…断片的なキーワードは聞いたことがあるのだけれど、詳しいしくみを知りたくて…関連の論文を紹介していただけました!
貴重な体験ができた一日でした。写真もたくさん撮らせていただき、勉強の参考資料になります。
菊正宗酒造さん、生産部の皆様、ありがとうございました!