SAKE DIPLOMA Internationalは、英語で出題され、英語で解答する試験です。試験当日のインストラクションも英語で書かれたものが配布されます（東京会場の受験案内などの会場アナウンスは日本語でしたが）。
日本ソムリエ協会の試験案内ページ
https://www.sommelier.jp/exam/exam_guidance_detail5.html
英語の４技能（読む、聞く、話す、書く）のうち、この試験に合格するために最も必要なのは「読む力」です。Written examもShort essay examも英語を書いて解答する試験ですが、まずは英文を「読む力」をできるだけ上げることが大事だと、昨年受験の準備をして思いました。
ここで言う「読む力」とは
・試験時間内に問題文や選択肢に目を通すスピード
・分厚い教本を読む気力
・正しく質問を理解するための文法力、単語力
せっかくお酒の知識を入れても、これらの力不足で不正解になるのはもったいないではないですか。
今日は、筆記試験の内容について振り返りながら、「読む力」がどう必要だったのか書きます。
試験時間内に問題文や選択肢に目を通すスピード
2021年の筆記試験では60分の試験時間に99問出題されました。1問にかけられる時間が平均で36秒しかありません。問題文はすべて英語で書かれています。4択問題も数問ありましたが、選択肢が長いのもあるので、要点を速くつかむスキルが必要です。
筆記問題99問のうち、文（主語と動詞があり、最後にピリオドで締めるもの）で答えるものは無かったと記憶しています。解答で書くのは単語か短いフレーズ、そして最も多かったのが”Omachi”、”gaiko nainan”のような固有名詞や日本語専門用語のローマ字。英作文ができるかよりも、問題文を速く正確に理解できるかが、筆記試験の成功へのカギなのです。
分厚い教本を読む気力や体力
筆記問題対策は、教本をきちんと読んで準備をすれば、それほど恐れる必要はありません。
問題文では、教本に書かれている英文と同じ表現が使われていました。4択問題の各選択肢もしかり。英語スキルを測る試験ではないので、教本に出てくる単語以上に広げて記憶する必要はないと感じました（例えば言い換え表現などの知識は筆記試験には必要ない）。
そして、読む力は毎日練習することで、確実に伸ばすことができるスキルです。何度も読むことで英文の語順に慣れ、文構造が予測しやすくなり、読むスピードが上がります。そこに学習した日本酒・焼酎の知識が加わり、瞬時に理解できる単語の数が増え、さらに読解が速くなります。
読む力は毎日読むことで伸ばせる。英文への耐性が強くなり、分厚い教本を読む気力が持続しやすくなります。これは自分自身の体験でもそうでしたし、TOEIC対策で成果をあげた多くの学習者さんの姿を見て、確信します。（TOEIC対策講座で、数か月集中して学習した結果、スコアを200点台から400点～500点台まで伸ばした例も数多く見てきました）。
正しく質問を理解するための文法力、単語力
・正しく質問を理解するための文法力、単語力
もちろん、英文を速く理解するためには、「品詞（名詞、副詞など）」、「語順（主語→動詞→目的語など）」、「動詞の変化」といった基本的な文法知識が不可欠です。中学校で習う範囲（過去形、受動態、関係代名詞など）をしっかり押さえておくと文の構造がつかみやすくなります。余裕があれば分詞構文もおさらいしておくとよいと思います（教本では頻繁に使われているので）。
教本を読むときにおそらくネックになるのは未知の単語の多さかもしれません。fermentation（発酵）、lactic acid（乳酸）などの酒造りに関する用語以外に、例えばincrease（増える）、contribute（寄与する）、achieve（～に達する）、conventional（従来の）、significance（重要性）など、TOEIC L&Rテストの単語本でいえば600点目標のページに並ぶような単語はインプットしておく必要があるでしょう。
2023年のSAKE DIPLOMA Internationalの試験が例年通り10月に実施されるならば、まだ10か月準備期間がありますね。今年の教本を手に入れて読み始める、中学文法の本で知らないルールがないかチェックする、TOEIC向けの単語を覚える、などできることが多くあります。合格を目指す方、応援しております！
…と書いている私ですが、WSET Level 3の勉強がはかどらず、しかもだいぶ前に申し込んだ国際唎酒師の試験は受験期限を守れそうになく棄権しそうなほど崖っぷちです。年末年始はWSET３の勉強を頑張ります。
みなさま、よいお年をお迎えください。
(photo AC)