前回、「搾り(上槽)」の英訳が本によってpressingやfilteringになっていると書きました。
この2つの単語の違いほどややこしくはないのですが、
「精米」にあたる英訳も教科書によって複数出てきて興味深いと思います。
polish=磨く、研ぐ、つやを出す、など
mill=臼でひく、製粉する、殻をとる、など
grind=臼でひく、磨く、など
精米というのは、白米の表層部を削って取り除くことですよね。表層部に多く含まれるたんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラルなど、多すぎると有害となる(雑味の原因となる)成分の量を少なくすることです。
酒英語界で一番多く使われているのはpolishingのようです。
polishという単語を私が初めて覚えたのがpolish the shoes(靴を磨く)というフレーズだったのもあり(遠い遠い昔)、riceをpolishするというのは実はピンと来ませんでした。
John Gauntner先生(日本酒伝道師)のセミナーを受講したときに、polishというのは違和感を感じるのだが、実際酒英語界ではどうなのか、うかがったことがあります。
John先生もpolishはmake something shiny(何かを光らせる)というイメージがあるとおっしゃっていました。とはいえ、違和感があるほどのことではなさそう。polishもmillも誤解なく通じるとのことでした。
ちなみにJohn先生の資料では、精米はmillingと表現しています。
きょうの酒英語
This ginjo-shu was made with locally grown Omachi rice polished to 50%.
この吟醸酒は、50%に精米した地元産の雄町を使って造られました。
▶ was made with 「~を使って造られた」makeの受動態です。
▶ locally「地元で」。次のgrownにかかる副詞。
▶ grown 動詞grow(育てる)の過去分詞形で、「育てられる」と受動態の意味になります。ここでは名詞Omach riceを説明する形容詞のような働きをします。
locally grown rice(地元で育てられた米)のような
「副詞+形容詞(過去分詞)+名詞」は
よくある組合せです。
例えば
recently harvested rice(最近収穫された米)といえば…
そう、「新米」のことです。
それでは、また次回お話ししましょう。