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指定された総合病院へ診察に行った日は

冬の寒い日でした

 

 

長い長い待ち時間を経て

そして長い時間をかけて検査をした

 

 

何せ3歳になるかならないかの

小さな子供

 

視力検査でお馴染みの「C」の

空いている方を指さすこともできない

 

 

だから最初から

じゃ、お母さんも座って下さいと言われ

検査室の椅子にリトルを抱いて座り

 

車のハンドルほどの大きさの

「C」の形のプラスチックを持たせて

これを目線の先に示される向きと同じ方へ向けさせる

しかしリトルはこれさえままならない

 

 

リトル、あれ見て?

あれとおんなじ方に回すんだよ?

 

見えないからなのか

意味がわからないからなのか

しばらくやっているとグズって‥

 

 

 

他にも様々な検査をした


長い長い時間かかって検査室を出て

 

 

今度は待合いで瞳を開く目薬を点して待つこと30分‥

 

技師さんが来て確認

 

もう少し待ちますね‥

 

確認‥

もう少し‥もう少し

 

準備出来たので

もうすぐ診察室で呼ばれますので

中待合でお待ちください‥

 

 

先生の元へ呼ばれた時リトルは

私に抱かれてぐったり眠っていて

 

待つばかりだったのに

ず――――とおとなしくしていた4歳のハナも

さすがに疲れて私にもたれてウトウトしていました

 

 

何とか2人を起こして中待合へ

 

 

診察室は暗幕が引かれていて

先生のデスクと横でカルテを記入していく

助手さんのところにだけ

 

ポッ と明かりが灯っていた

 

 

先生と向かい合って椅子に座り

リトルを抱いて眼球を見る機器にリトルのあごを乗せ‥

 

ひと通り確認を終えると優しい女医さんは

 

リトちゃん、たくさん検査、頑張ったねぇ

 

とリトルの頭を撫で

 

お母さん大事なお話ししますね

よく聞いてね

 

と話し出した

 

 

リトル君は小児弱視というものです

人間は生まれた時はみな

目がまだそんなには見えていなくて

 

だんだんと視力が出てくるのだけど

リトル君の場合は

この視力の発達がありません

 

止まっている、というのかな

 

 

 

え‥

見えていないんですか?

 

 

視力が元々ない人のように

真っ暗な世界にいるわけじゃないです

 

でもお母さんのお顔はほぼ見えていないです

 

輪郭だとか着ている服の色だとか‥

そういうものはぼんやり見えていて

 

声だとか ニオイだとか 

あと お母さんの温度とか

 

そういうもので「お母さんだ」と

認識していると思います

 

 

‥リトル君よく転んだりしませんか

 

 

はい‥転びます

↑コレは後に偏平足の影響もあったと知る

 

 

うんうん

段差が見えていなかったり

距離感がわからなかったり‥

 

そういうことで

よく転ぶお子さんが多いんです

 

 

 

涙がぽろぽろ零れて

 

ハンカチを出そうとバッグをつかんだ時

後に座らせて貰っていたハナが

私の方をジッと見ていて

 

あぁしっかりしなくちゃ‥!

と思ったのを憶えている‥

 

 

 

 

でもねお母さん

本人は見えていたものが

見えなくなったわけじゃないから

 

今日まで辛くはなかったはずですよ

産まれた時からこうだから

 

 

これから治療をしていくことになるけど

治療しなかったり

しても視力がもしこのままだと

 

小学校に上がる時

普通学級に入るのは難しいかもしれないの

 

視力は6歳くらいまでに完成して

それ以降は治療をしても大幅に効果はでないと

言われています

 

だからそれまでの間に

頑張って治療をしていきましょう

 

 

 

どうしようどうしようどうしよう‥

どうしようどうしようどうしよう‥

 

 

頭の中はそればかり

 

私が産んだ子‥

目が見えていないなんて‥!

 

 

先生は続けて

今後の治療について話しだした

 

 

途中看護師さんに

 

お母さん、大丈夫?

 

と言われるたびに我に返る

 

 

だっ、、大丈夫です‥!

 

 

なんとか、

本当になんとか話しを聞いたと思う

 

 

これからリトルはメガネを作り

それをかけて視力が出るよう促していく

 

メガネは矯正メガネといって

治療器具になるから

 

保険が適用されて9歳頃まではメガネ代の

8割は還付があります  など‥

 

 

次はメガネ合わせの検査をするので

〇日に来れますか?

もう予約を入れますね

 

メガネ代の還付については別の場所で

ご説明しますので‥‥‥

 

 

先生方の声が常時遠くの方で聞こえていた

 

 

 

 

その日‥

私の住む街は凄い雪だった

 

 

会計を終えて外に出ると

降りしきる雪で前が見えない中

 

眠るリトルを担ぐように抱き

ハナを半分引きづるようにして駐車場まで歩いて

 

順番にチャイルドシートに乗せながら

ボロボロボロボロ泣いた

 

 

朝9時過ぎに初診の手続きをしたのに

帰る頃にはもう暗くなりかけていて

 

とにかく早く家に帰りたかった

 

 

 

雪がたくさん積もった自宅の車庫前

雪かきをするのももどかしく

 

このままバックで雪を踏みつけて

車庫に入れてしまおう

 

そう思って‥

 

 

 

ガンッ!!!

 

音と衝撃で我に返る

 

基礎高の家の車庫の枠に

車が‥全然入っていなかった

 

家の基礎に車の後ろを

がっつりぶつけて

 

 

あぁ旦那さんに怒られちゃう‥(泣)

と思いながら(帰って来ないのに)

 

車をそのまま投げ捨てて

積もった雪を掻きもせず

子供たちを両手に抱えて家に入った

 

 

 

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*写真は全てネットよりお借りしたものです

ナツ