「フルートの神様」と称えられるマルセル・モイーズ(Marcel Moyse 1889-1984)が選び、演奏に必要な記号などを書き込んだ"The Golden Age of the Flutists"というピアノ伴奏つきのフルートの作品集がある。この中から、一つ選んで録音してみた。

テオバルト・ベーム 作曲
Composed by Theobald Böhm

シューベルトの主題によるファンタジー Op. 21
Fantaisie sur un air de Schubert Op. 21
Fantasy on an air by Schubert (Fantasy on a Theme from Schubert) Op. 21

テオバルト・ベーム(1794-1881)は、現代のフルートの構造に関わる革命的な発明をしたことでも知られている。所謂、「ベーム式」システムによって、フルートの音に鳴りやすい音とそうでない音があって不便だった問題を改善した。作曲家としても優れていたのは、作品を聴いて見れば明らかで、フルート奏者としても一流だった。

ベームが生きた、音楽史でロマン派とされている19世紀は、ヴィルティオーゾ(virtuoso)、すぐれた技巧をもつ演奏家の時代でもあった。優れた演奏家で作曲もした、ヴァイオリニストのニコロ・パガニーニ(1782-1840)とピアニストのフランツ・リスト(1811-1886)が知られている。このような技巧的に優れた演奏家が生まれた背景には、ピアノとヴァイオリンの開発があったのは言うまでもない。管弦楽のヴィルティオーゾはルイ・エクトル・ベルリオーズ(1803-1869)であろう。ベートーヴェン(1770-1827)が1824年に『第九』交響曲を作曲した後、この楽聖の交響曲の影響を受けながら、1830年にベルリオーズは幻想交響曲を作曲した。管楽器も19世紀に改良されて、現代の楽器とほとんど変わらない姿になった。ハインリッヒ・シュテルツェル(1777-1844)が1814年に金管楽器用のヴァルヴを発明した。木管楽器は、テオバルト・ベームが19世紀半ばにベーム式フルートを開発し、他の楽器の構造にも影響を与えた。

"The Golden Age of the Flutists"に選ばれた作品は、19世紀のヴィルティオーゾの時代に書かれた。最もフルーティストの数がヨーロッパに多かった時代でもあり、ブラームスやシューマンのような作曲家の名前は見えないものの、フルーティストを兼ねた作曲家達が、教養の高い文化人だったことが、作品を通して分かる。

シューベルトの主題によるファンタジー Op. 21の主題は、シューベルト :36の独創的舞曲(最初のワルツ集) D 365 Op.9 No. 2から取られた。「憧れのワルツ/悲しみのワルツ」と呼ばれることがある。現在の演奏会では、ほとんど聴くことがないこのようなシューベルトの作品を、どうのようにしてベームは知ったのだろうか?

The original theme is from No. 2 of Schubert:36 Originaltanze(Erste Walzer) D 365 Op.9
"Trauerwalzer" or "Waltz of mourning" in English

作品名について、原語に当たってみると、どういう悲しみかが分かる。誰かが亡くなった悲しみである。

現在でこそ、YouTubeで色々な演奏が聴けるが、以前は、この曲は1989年にミュンヘンで、有名フルーティスト達が集まって行われた、「テオバルト・ベーム没後100年記念演奏会」実況録音のCDぐらいしか音源がなかった。この中に、オーレル・ニコレ(Aurèle Nicolet 1926 - 2016)による優れた「シューベルトの主題によるファンタジー」が収録されている。私がこの演奏に影響を受けてきたのは確かだ。しかしながら、今回、ベーム自身が書いたテンポをモイーズが修正した事も含めて、作品全体を自分自身でもう一度見直して、ピアノ伴奏無しで録音してみた。

全体の通し演奏はここから
https://www.youtube.com/playlist?list=PLfFfASVQuagqPGHrFQF09J5IoB6Fe1AWr

全曲の中から抜粋

Introduction前奏

TEMA主題

Adagio

Rondo (Part 1)

Rondo (Part 2)



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