開業から数年の間は、生徒が少なくても独自の教材などを作成することが忙しく、時間的なゆとりがほとんど無かった。段々と、時間的なゆとりができたときに、考えたのはフルートの再開だった。

私の教室は、上智大学の北原延晃先生の考案した北原メソッドによる英語指導をしているが、この指導の中で生徒にソーゾーリョク(創造力・創造力)を要求することが少なくない。これからのAIが浸透する世の中では、必要な能力である。

何気なく、楽器を取り出してやってみると、生徒達が、年齢を重ねると衰えていくのを目の当たりにしているソーゾーリョクを、私自身がトレーニングすることにとても良いこと、普段、酷使する呼吸器関連にとっても良いことに気がついた。そこで、長らく開くことがなかった教則本何冊かに1年半ぐらい取り組み、自分自身のための記録のために撮った動画をあげたのが以下のYouTubeチャンネルである。

Takahashi in JAPAN
@Takahashi-Japanese-musician

https://www.youtube.com/@Takahashi-Japanese-musician/playlists

知り合いのプロで長らく活躍するフルーティストに、「本業の英語授業の前の時間帯に、フルートを教えることを考えています。どう思いますか?」と訊いたところ、やってみるようにと言われた。以前、私の演奏を聴いて、「一体誰の門下?」と、驚いて訊いたことがある。

フルートは、音を出すだけでもとても難しい楽器。それ故に、技術に走るフルーティストが多く、フルートの名曲はあるものの、心から良いと思えるプロの演奏に出会った事がない作品が幾つかあるとずっと思っていた。それを中心に、録音して出してみた。

・F. シューベルト『萎める花』によるフルートとピアノのための変奏曲
・J. S. バッハ 無伴奏フルート パルティータ イ短調 BWV 1013
・J. S. バッハ フルートとチェンバロのためのソナタ ロ短調 BWV 1030
・W. A. モーツァルト フルートとオーケストラのためのアンダンテ KV 315/285e

どれもビッグネームの名曲だが、技術的に上手な演奏、尊敬に値する演奏には会ったことはあるが、私が楽譜を読み取った内容とは異なり、自分で演奏してみるしかなかった。

その他には、テレマンの『ファンタジー』が、今までで一番大きな「プロジェクト」だった。当然、一部の指揮者は読んでいても、多くのフルーティスト達は読んでいない、古楽奏法の源であるクヴァンツやレオポルド・モーツァルト、ハンス・ペーター・シュミッツの著作を私は読んだことがあり、それらの本に従うならば、昔は、私がこの録音の演奏でつけたような長いスラーを付けていなかったのは分かっているが、現代の楽器で演奏する場合、そういう制約を超えることが、より作品の本質を聴衆に分かりやすく示すことになると思えるなら、あり得ると考えた。私は、他のフルーティスト達の演奏を聴いて、もっとテレマンの音楽は、自由な発想で演奏するべきと思う。

そもそも自分自身の記録のために作ったチャンネルである。技術的には、マルセル・モイーズの流れを受けた2人の先生から受け継ぎ、音楽的には、指揮者の耳で自分の演奏を修正した演奏である。


*写真は、2005年、京都で行われたローム主催のセミナー。オーボエの宮本文昭さんと野球の星野仙一さんが、小澤征爾先生による小澤塾オーケストラの指導を兼ねた指揮者養成セミナーに招かれた日があった。


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