青年のなかへ
午後8時過ぎ、山口文化会館に戻った伸一は、中国方面の各県の青年職員が、荷物整理などの作業に当たっている様子を目にする。
彼は、役員が多すぎることを指摘し、厳しくも温かく語っていく。
「私は、せっかく山口に来たんだから、山口の青年たちを、直接、訓練したいんだよ。それなのに、ほかの地域から何十人もの人が来て、動き回っていたのでは、山口の人の顔が見えなくなってしまう。
数少ない山口の職員や青年が、一切の責任をもって運営にあたるのは大変にちがいない。緊張もするだろうし、失敗もあるかもしれない。
でも、失敗してもいいんだ。それが学習になり、教育になる。何かあったら、私が守ります」
小説では、その真情が記されている。
「伸一は、一人ひとりの青年たちが、いとおしくて仕方なかった。共に行動し、語り合い、励まし、自分の知っていることは、すべて教えておきたかった。しかし、普段は、その機会はない。だからこそ、その地の青年たちとの出会いを、何よりも大切にしたかった」
思いは行動に現れる。彼は上着を脱ぎ、青年たちと共に、荷物を片づけていく。
どんな場面であれ、青年を薫育する好機を逃さないー広布の師の慈愛は、どこまでも深い。
自らが立つと決め、真剣に努力していこう