グット,,がまんして!!~小山ルミ② | edihの昭和音楽よもやま話

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60~70年代を中心に、音楽にまつわる話をアップします。

前回、「さすらいのギター」を書かせていただいた「小山ルミ」さん。

TVのカバーガールから映画「ケメ子の唄」のヒロインに抜擢された後、「はじめてのデート」で歌手デビューするなど、元祖マルチ・アイドル的な存在であった。が、しかし70年代には国民的アイドル「岡崎友紀」さんが爆発的な人気を誇った時代、小山さんは若干、影に隠れた感があった。

10数年前、「さすらいのギター」 をクリアな音で聴きたいがために購入した
ヒット・コレクション/小山ルミ(現在は廃盤)

 

 

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60年代後半、まさにGSが華やかだった頃、女性シンガーも”黛ジュン”さんなど”一人GS”なるGSサウンドの楽曲が多かった。GSが衰退し、ムード歌謡、演歌がヒットしていた70年代前後、何故か若い女性シンガーも、暗いマイナーな歌が多い中、小山さんのシングルは聴いてみると、バンド中心のビートのあふれる楽曲が多いし、バックミュージシャンもいい音を出しているは驚きだ。

悩ましい見開きジャケットは、ビクターからユニオンレコードに移籍後、初のシングル。通算第3枚目のシングル

あなたに負けたの」(70年5月発売)

あなたに負けたの
(作詞:なかにし礼 作、編曲:森岡賢一郎)

ピアノではじまるイントロ。ギターのアドリブも心地よい音、珍しくオルガンも聴こえる。サイケなR&B調のダンスナンバーで、グルーヴィーなベース・ランニングは寺川正興さんっぽい。(ギターは成毛さんかな?)またフル・オーケストラを使って雄大なアレンジで定評の森岡氏にしては、新しい感覚のバンドスタイルの曲であった。

で、この路線でいくのかと思いきや、70年10月発売の第4弾

「グット,,がまんして!!」


(作詞:いなずまひかる 作曲:はやしこば 編曲:宮川奏)

乙女チックなゴー・ゴー・サウンドに、椅子から転げ落ちそうになった。

作曲のはやし氏はCMソングなどでお馴染みの方、アレンジの宮川さん、「ザ・ピーナッツ」の育ての親であり、クレージーの音楽も担当され、イントロのストリングスはクレージー映画風な感じ。

「シュドゥビ、ドゥビドゥビ ドゥードゥビ、ドゥーバァー」と思わず、下を噛みそうな出だしから、「泣いちゃおうかな~」といったと思ったら、「みっともないも~ん」と心変わり、最後には「心で泣いとくも~ん!」とくる。
この曲、70年12月「グルーバー」というグループが、「アメノウズメノルンバ」のB面で「帰ろうかな」というタイトルで歌っていた。 

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「帰ろうかな」 がオリジナル説もあるが発売時期はこちらの方が遅い。

(「スキャッツ」という3人組も「帰ろうかな」のタイトルで2002年サイケにカバーしている。)

5枚目の「幸せすぎない幸せが好きよ」はベースがうねるマイナー曲の後、「さすらいのギター」、「二つのギター」とギターシリーズでヒットで路線が決まったという感じか、洋風なサウンドで歌手活動に力を入れはじめていったのではないか。

ブルージーン」では筒美氏、「憎いあなた」では都倉氏、ラストシングル「わたしはお人形」は川口真氏と、70年代を代表する作曲家の作品を歌っている。ベストアルバムを順に聴いていくと、作曲者の7それぞれの色が出ていて面白い。

アルバムも「ベンチャーズ」「ビートルズ」「ロックンロール」そしてドラムをフィーチャーした歌謡ヒットカバーの「ドラム・ドラム・ドラム」など、コンセプトある音作りを続けていた。70年代の歌謡サウンドを語るには、欠かせない貴重なシンガーの一人だと思う。

アルバムのレビューはいずれまたの機会に・・・・・。

(文中一部敬称略)