絶叫 | パンタロン

パンタロン

日常のことや、
ネコズのこと。

葉真中顕さん。
またもや初めましての作家さんです。


マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。
刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。
平凡な人生を送るはずが、無縁社会、ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ…。
辿り着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは!?
ミステリー、社会派サスペンス、エンタテインメント。
小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作!

今回は最初、「東電OL殺人事件」を思い出してしまいました。
全く違うんだけど。
鈴木陽子も東電の泰子も、殺された状態から始まって、その生い立ちや生きざまがツラツラと…ってとこが、頭の中で被りました。

ただ、泰子には家族がいたし、仕事も役職に就いていて高収入、家は古いけど親が購入した家に同居だし、金銭面は問題ありませんでした。
仕事終わりに売春婦なんてしなかったら死ぬこともなく普通の人生を送れていたはずです。
一方、陽子は親に愛されることもなく家族離散、家は借金のかたに取られ、仕事は低収入。
普通の幸せが欲しいだけなのに上手くいかない。
そして、やりたくもない風俗の仕事に手を出しその後は…

ハローワークの前で保険外交員の勧誘で声をかけられる陽子。
ここはまるで「殺人気フジコの衝動」じゃんと思いました。
まるで一緒。
昔はこういうシチュエーション、実際によくあったのかもしれません。
保険屋…今と昔では全然イメージ違いますよね。
昔は近所を歩いて回るおばちゃん外交員をよく見かけたものです。

人は追い詰められた時、悪い方向しか選択出来ないものなんでしょうか。
自分、どうだったっけ?
さすがにここまでの経験はないけど、困った時、どうしようって時、私は回りの人に助けられていたような気がします。
恵まれていたし、運が良かった。
そういったものが一切ないのはキツイだろうなあ。
中学生の時、美術部で先輩に恋心を抱いていた頃が陽子にとって1番幸せな時期だったのかもしれない。
なんかやるせないなあ(´・ω・)

そしてラスト!
何となくもしかしてと思ったけど、まさかの展開!
火車のラストを読んだ時の興奮が再びでしたo(*´д`*)o
火車の関根彰子も今回の陽子も、生きようとする思いが実に強い。
犯罪者だけど、絶対ダメなんだけど、生まれてからずっと辛い思いをしてきたかと思うとね…
なんか頑張れとか思ってしまう(^o^;)

なかなか読みごたえありました。
面白かったです(*^^*)