◆『ダルタニャンの生涯』
著/佐藤賢一(岩波新書)

■『三銃士』の主人公ダルタニャンは、実在した歴史上の人物で、
この本では、彼の生まれから、死後までを追っています。

デュマの小説と絡めつつも、
あくまでメインは“史実のダルタニャン”です。


■本名:シャルル・ド・バツ=カステルモールの彼は、
なぜ母方の姓“ダルタニャン”を名乗ったか??


ダルタニャンの家系紹介からはじまり、
当時のガスコーニュ人の置かれた位置など…。

デュマの『三銃士』は、ほとんどがフィクションですが、
実際にガスコーニュ生まれの若者が、
同郷の縁故を頼って上京、
軍隊に入って出世

…というパターン自体は、
当時の成功モデルのひとつだったようです。


■とはいえ『三銃士』で、たった3年で副隊長になった彼も…、

現実では、やはりそんな飛び級出世はなく(^_^;)…、

苦労を重ね、叩き上げの軍人として、少しづつ出世していったようです。


活躍した時代も、ルイ13世とリシュリューの時代よりも、
むしろルイ14世の時代。

マザランの密偵として、キャリアをスタートさせています。

派手好きのルイ14世の好みに合わせる必要から、
私財をはたいて、自分の部隊を豪華に着飾ったりとか…、

出世してからも、その辺の苦労や人間関係が、何とも17世紀くさく、
デュマの作品とは、また違った面白さです。


■そして、フーケの逮捕事件も、けっこう詳しく紹介されています。

その際、ダルタニャンは監視の任務を忠実に遂行しつつも、
大事なときに、義侠心を発揮したり…

かなり魅力的な人物だったのだろうなと思います。


■…読みはじめたのが7月後半で、
真夏の暑さで頭がまわらず(^_^;)
途中からは、かなりナナメ読みで飛ばしたりしましたが←(--;)

それでも自分には、十分おもしろかったです(*^_^*)。

『三銃士』に興味ある方なら、楽しく読めるのでは?と思います。



◆沢山のジャンルで、沢山のダルタニャンがいますが…、
原作以外で、自分が好きなダルタニャンについて。


■ギュスターブ・ドレのダルタニャン■

まずは、パリのマルゼルブ広場にある
ダルタニャン像。

日本の銅像にありがちな、真面目な直立姿勢ではなく、
片足を上げて、やや不遜なポーズが、ふてぶてしい銃士らしく、
表情もダルタニャンの雰囲気が出ていて好きです。
マントのひだひだも好き。

また、ダルタニャンは作者であるデュマ像の下に位置しているのですが、
「表側」に居るのではなく、
「裏側」に居るというのも、いいなあと思います。


■ジーン・ケリーのダルタニャン■

ジョージ・シドニー監督の、1948年アメリカ映画。

カラフルな衣装の三銃士です。

…この作品に関しては、ダルタニャンが良いと言うより、
単にジーン・ケリーが良い俳優なだけかもしれませんが…。

三枚目寄りのダルタニャンが好きなのです。

ミラディー役の女優さんも凄く美人。

アトスは未練ありあり設定で、
その点だけは(←^_^;)、新ロシア版と少し似ています。

この作品も、独自に省略しつつ、原作のラストまで映画化されてます。

コンスタンスはキリッとした雰囲気で、けっこう好き。

なんと結婚してしまうビックリ展開あり。


■フィリップ・キャンデロロのダルタニアン■

こちらはフィギュアスケート。

フランス代表キャンデロロ選手が、
長野オリンピックで、ダルタニャンを題材としたプログラムを演じ、
見事銅メダルを獲得。

自分は完全に後追いで、一昨年YouTubeで見ましたが、
それでも感動でした(*^_^*)。


■ミハイル・バヤルスキーのダルタニャン■

はたして本当に好きか?と考えると、…ですが(^_^;)、
このブログでは何度も名前が出ている、
『旧ロシア版』のダルタニャン。

とにかくキョーレツなインパクトで、
一度見たら忘れられないキャラクターです(^^)。

『記憶に残るダルタニャン』てことで。


■リナリ・ムハメトフのダルタニャン■

続いて『新ロシア版』。

こちらは構成がダルタニャン中心ではないので、
どうしても、上記の方々に比べると、ちょっと弱いかな…。

また、かなり単純で子供っぽい性格になっていたり、
御都合主義的な展開があったりして、
おバカっぽく見えるのも残念。

(俳優さんは良さそうな方だけに…。)

ちなみに、このダルタニャン役のリナリ氏は、
アクションが得意な俳優さんのようです。

以前翻訳しかけた記事の中で、アトス役のユーリーが、

『アトスも、ポルトスもアラミスも、
スタントマン無しではありえなかった。

が、ダルタニャンだけは違った。

(ダルタニャン役の)ムハメトフは、全部自分で演じていた。
おそらく、本当に危険な2つのシーンを除いて。』

…てなことを言ってます
(たぶん←(^_^;))。

さらには
『いまいましいガスコン!(笑)』
とも(*^_^*)

…確かに彼のアクションシーンは、
はっきり顔が見えてることが多かった気がします。
(…とはいえ、作品全体が、カット割りまくり&切り貼り編集しまくり
…なのであまり目立ちませんが…(--;)。)


■実在の(!)ダルタニャン■

…こんな風に、ダルタニャンについて色々書いてみたのも、
『ダルタニャンの生涯』(佐藤賢一)
という本が面白かったからです。

ダルタニャンは17世紀フランスに実在した(*^_^*)

史実としてその活躍が残っているのは、
リシュリュー&ルイ13世の時代ではなく、
マザラン&ルイ14世になってからのようですが…。

史実の方でも、なかなか魅力的な人物のようです(*^_^*)。


…これについては、次の記事で



◆新ロシア版でアトス役を演じた
ユーリー・チュルシン(チューシン)氏のインタです。

『三銃士』についてや、
「役作り」についてなど、
けっこう内面に踏み込んだ、質問をされているかと思います。
(前半のみ掲載)

元の記事は、こちら↓
http://www.cosmo.ru/stars/krupnim-planom/yuriy-chursin-ya-vsegda-byl-introvertom/

(部分的に、かなり意訳のところがあります。
初心者による訳なので、間違い等ご指摘いただければ幸いですm(_ _)m)

────────────

◇ユーリー・チュルシン:
『私はいつも内向的だった』

(2014.1)

―あなたは最近、《三銃士》でアトスを演じました。
私たちみんなが知っていて、
子供の頃から好きだったキャラクターを演じるのは、難しかったですか?
(↑訳註・
以前にも書きましたが、ロシアでは
78年公開の《ダルタニャンと三銃士》シリーズが非常に人気で、
「三銃士モノ」としては最も浸透しているようです。)

 『まず、私は専門家に、
アトスの占星術チャート(←ホロスコープ?)の作成を依頼しました。

私にとって占星術は、多くの作品で、
(役作りに)奥行きをもたらし、(キャラクターの)内面を創造する、重要な鍵となります。

その結果、私は、キャラクターがどんな少年時代を過ごしたのか?、
両親との関係はどうであったのか?、
彼がどんなふうに世界を認識しているのか?
…ということを、想像します。

つまり、心理占星術に触れることで、
(キャラクターの)ストーリーが、より広がっていくのです。』

―あなたは、とても真面目(深刻)ですね。
子供の頃は《三銃士》で遊びましたか?
(一行略)

 『もちろん遊びました。

私たちは、みんながダルタニャンと、
ミハイル・バヤルスキー[ Михаил Боярский](←ダルタニャン役の俳優)に、分かれていました。

つまり、二人のヒーローがいたのです。
ダルタニャン〉と、(ダルタニャンからは)独立した〈バヤルスキー〉と。』

―何て革新的なアプローチ!
あなたは誰(の役)でしたか?
推測してみましょう。
バヤルスキー〉では?

 『正直に言うと、覚えていません。
私が、誰の役をやりたかったのか。
というのは、全ての役を、自分に割り当ててみる暇があったので。

いつも脇から見ていました。
もしかしたら、天の采配があったのかもしれません。
当時は、十分に遊べませんでしたが、
今、私には(この遊びを)続ける機会があります。

撮影中は、もちろん仕事ではありましたが、
我々(キャスト)は、まったく《三銃士》で遊んでいる、
ただの少年たちでした。

よろこんで衣装を身に纏い、剣を取り、
お互い銃士気分になるチャンスを逃しませんでした。

いつでも馬で乗り回して良かったし。
食事には、たくさんの種類のチーズや、
口直しのブドウがありました!

一言でいえば、我々は非常に高いレベルで、
銃士になりきったのです。』

―そのために、
これらの〈遊び〉を遊ぶために、
あなたは俳優になったのでしょうか?

 『実のところ、芸術とは、
…すなわち〈ストロー(管)〉なのです。

この〈ストロー(=芸術)〉を通して、
人は安全な領域から抜け出し、
進化を始め、成長することができるのです。

観客は、芝居や映画作品、俳優を通じて、
彼(の人生)には決して、起きて欲しくない状況
(または、自分の中に見つけたくない「影」の側面)
にも、よく出会います。

(しかし、この体験は)
観客が、「自己」との繋がりを理解するのに役立つ、
〈栄養〉になるでしょう。

これは魔法です。』


―同感です。

でも私には、あなたが10代の頃、職業を選択した時に、
このような難しいことを考えていたとは、思えないのですが?

 『まあ、たしかに、そうです。

私の心をひきつけたのは、
劇場の付属大学から、私たちの学校に来た、実習生たちでした。

彼らは、演技の授業を行ない、
劇を上演し、
私たちと一緒に、練習したりしました。
それらすべてを、小学生のときに体験したのです。

そしてその後、高校で心理学の授業が現れました。』

―そんなに長い間、心理学に夢中になっているのですね?

 『その(心理学の)授業では、私たちは色々な実験を行いました。

それはきっと、最初の一歩だったのでしょう。
人生における、さらに大きな視野を持った、私の探求にとって。

私はこれらすべてに、とても興味を持ちました。
そして、クラスメイトたちが庭でボールを追いかけているあいだ、
よろこんで授業に時間をつぎ込みました。』

―心理学の知識は、悪役を演じる際、役に立ちますか?

 『そうですね。
もし、まったくもう(人間の)クズな役を、やらなくてはいけないことになったら、
私は彼の中に、ユーモアを見出だすよう努力します。

ろくでなし(悪党)を演じるときはいつも、
なるべく極端にやりたいと思っています。
突き抜けて、ばかばしくなってしまうくらい。

私は悪人の性格の中から、微笑ましい特徴を探すことに、興味があります。

善人の中にも、人間的な失敗や、誤解のようなものはあります。

複雑な人物の中にも、単純な面があります。

正反対の性質を、招くのです。』


(…とりあえず、以上です。
後編につづく??)

────────────
・【ここまでの感想】

…たぶん、インタビュアーさんは、
もう少しフツーな回答を想定されてたのでは?…と思うのですが、
質問のはるか斜め上を行く(^_^;)、ユーリーの回答と、
それでもめげずに、さらに突っ込んだ質問を繰り出す、インタビュアーさんとのやり取りが面白かったです。

後半はいつになるかわかりませんが、
気長にやります(^-^)/

ではでは。


【ブログ内の関連記事】

・新ロシア版「三銃士」については、こちら☆

・アトス役の、ユーリー・チュルシンについては、こちら☆