日本の経営者の方々は、「イノベーション」という言葉が大好きです。
何かにつけ、会社の発展のためには「イノベーション」が必要であることを社員に訴えます。
まるでお経を唱えているかのようです。
「イノベーション」を何度唱えれば、奇跡は起こるのでしょうか?
「イノベーション」と聞いても、私は、流行の言葉を安易に使いたくないので、それなりに調べます。
ピーター・ドラッカー著の「イノベーションと企業家精神」も読みました。
この言葉が日本の経営者の方々に普及し一般化したのは、ドラッカーの影響が大きいでしょう。日本人はドラッカーが大好きですから。
でも、「イノベーション 」を最初に定義したのは、経済学者のシュンペーターのようです。1911年にその著書の中で書き記しているそうなので、結構、古い言葉です。
ドラッカーは「イノベーション」の考え方を企業経営に持ち込んだ点で優れており、会社大好きな日本人の間に一般化させた点は評価されるべきでしょう。
私が「イノベーション」という言葉を初めて聞いたとき、その言葉自体に大きな感銘を受けることはありませんでした。それよりも、それと同じようなことは学生時代に読んだ本の中でも語られていたな、という印象でした。
その本とは、トーマス・クーン著の「科学革命の構造 」です。1962年の著書ですから、もう古典です。
「パラダイム 」という概念を用いて、代表的なのは天動説から地動説への転換のような科学史上の革命的な変革(パラダイム・シフト)がどのように起こるのかを分析したものです。
当時、私も若かったですから、社会に対する不満ばかりで、社会の価値観を変えてゆくにはどうしたらよいのか、その方法論を模索していました。あくまで模索していたのであり、「革命」を起こそうとしていたわけではありませんよ。乱読していた本の中で出会ったのが、「科学革命の構造」でした。
この本の良いところは、科学史での変革の過程だけにとどまらず、様々な分野へ応用することができる考え方を示している点です。私は、本を読んでいるときに、想像力がとめどもなく広がっていってしまい、「考える人」状態になったことを覚えています。暇なときには、思索する限ります。
当時から20年以上も経って、また「科学革命の構造」を手しました。もっとも、購入するまでの思いはなかったので、近くの図書館で借りてきました。自分が人生の迷いの中にあり、解決のヒントになればと思ったからです。
熟読はせずにざっと目を通したのですが、何か文章があっさりとしていて、面白みがなく、読み終わって、こんな本だったのかしら??と唖然としました。
学生時代にあれだけ熱くなった本だったのに!これだったら、ドラッカーの本のほうが面白いじゃないか!
時の経過は恐ろしいものです。かつて夢中になった女の子に20年後に出会ってしまったときのようです。
まだまだ修行が足りないのかもしれません。本の内容が変わったわけではないのですから。
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