本日はいつもとは少し違う内容ですが、
地域のみなさんのお役に立てればと思い、
先日、緊急避妊薬に関するオンライン講習を受講しました。
緊急避妊薬を薬局で取り扱うために必要となる研修です。
実際に受けてみると思っていた以上に内容が濃く、
若い世代の方だけではなく、熟年期にも性暴力の問題があること、
また、女性だけではなく男性も被害者になりうることなどを学びました。
今回学んだことを少しでも共有できればと思い
記事にさせていただきました。
▶オンライン講習を受けようと思った理由
「地域への貢献度をさらに上げるため、緊急避妊薬を取り扱えるようにしたい」
と上司から話がありました。
取り扱いにあたっては研修の受講が必要です。
私自身も女性の目線から寄り添えることがあれば力になりたいと思い
受講を決めました。
▶受講をしてみて
まずは、基本的な妊娠の仕組みのおさらいから始まりました。
・ホルモンのバランスによって月経が起こる仕組み
・卵子、精子の特性
・タイミングや年齢による妊娠のしやすさ
など、基礎知識として知っておくべきことを改めて学びました。
そのほかにも、
・晩婚化に伴う妊娠・出産をめぐる問題
・避妊法の種類
・性暴力への支援や取り組み
などについて一通り学びました。
単に「緊急避妊薬について勉強する講習」だと思っていましたが
実際にはそれだけではありませんでした。
薬を渡すことだけではなく
不安や悩みを抱えて薬局を訪れた方に対して
薬剤師として何ができるのか。
改めて深く考えさせられる内容でした。
▶印象に残ったこと
講習では、緊急避妊にもさまざまな方法があることを学びました。
普段ピルを服用している方では、
飲み忘れたタイミングや状況によって、
手持ちのピルで対応できる場合もあります。
そのため、自己判断で服用を中止したり追加したりせず、
まずは服用方法について医療機関や薬剤師へ相談することが大切です。
また、緊急避妊薬を服用する方法だけではなく
銅付加IUD(子宮内避妊具)を使用する方法などもあります。
その方が置かれている状況によって
選択肢はひとつではないことを改めて知りました。
そして、今回の講習で私が最も印象に残ったのは、
緊急避妊薬を服用した「その後のケア」についてです。
講習では、性暴力についても詳しく学びました。
内閣府の調査では
女性の8.1%が不同意性交等の被害を経験したことがあると回答しています。
また、加害者について
「まったく知らない人」と回答した割合は10.0%であり
交際相手や元交際相手、職場関係者、配偶者など
被害者が知っている相手からの被害が多いことも示されています。
性暴力というと
知らない人から突然被害を受ける場面を想像する方もいるかもしれません。
しかし、友人や知人、交際相手、夫婦の間でも
性暴力は起こり得ます。
たとえば
「夫婦なんだから、性行為をするのは当たり前」
「避妊具をつけるなんて信用していないのか」
そのような言葉で相手を追い詰め
本人が望んでいない性行為を受け入れざるを得ない状況をつくることもあります。
相手が顔見知りであったり
大切なパートナーであったりするからこそ、
「これは被害なのだろうか」
「自分にも悪いところがあったのかもしれない」
「相談したら大ごとになってしまうかもしれない」
と悩み、
自分が受けたことを誰かに話せない場合もあるのだと思います。
実際に、同じ内閣府の調査では
不同意性交等の被害を経験した人の55.4%が
「どこにも相談しなかった」と回答しています。
逃げたくても逃げられない。
別れたいけれど別れられない。
そのような状況にある方ほど
誰かに相談することには大きな勇気が必要なのだと感じました。
私たちには、性や妊娠・出産について自分で選択し、
自分の身体と健康を守る権利があります。
医療者や支援者へ相談したからといって
すぐに何かを決断しなければならないわけではありません。
まずは身体や心のケアを受け
その後どうしたいのかを一緒に考えていくことができます。
「どうしたらよいのかわからない」
そのような場合には、
#8891(はやくワンストップ)から
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターへ相談できます。
また、
「配偶者や交際相手からの暴力について相談したい」
という場合には
#8008(はれれば)から
最寄りの配偶者暴力相談支援センターへつながります。
医療機関を受診する前でも相談することができます。
そして
「病院や警察に行くのはまだ怖い」
「誰かに話を聞いてほしい」
そんなときに身近な調剤薬局を頼っていただけるのは、
薬剤師としてとても嬉しいことです。
薬剤師には
・ピルの服用についての不安
・緊急避妊薬についての相談
・月経周期についての相談
・医療機関や相談窓口についての案内
なども相談していただけます。
必要があれば、ご本人の意思を確認しながら
適切な医療機関や支援窓口へつなぐお手伝いもできます。
ひとりで抱え込まず
まずは相談しやすい場所から頼ってみてください。
▶まとめ
今回の講習を受けて
緊急避妊は薬を服用して終わりではなく、
その後のケアやフォローも大切なのだと改めて感じました。
未成年の方であったり
相手が配偶者や交際相手であったりすれば
病院や支援機関へ相談すること自体に大きなハードルを感じることもあると思います。
「緊急避妊薬が欲しい」
まずは、それだけでも大丈夫です。
そして、もし話せることがあれば、
誰かに相談することで気持ちが少し軽くなったり、
これからどうしたらよいのかを
考えるきっかけになったりすることもあると思います。
この分野で薬剤師にできることには限りがあります。
それでも、薬物治療のことだけではなく
必要な医療や支援につなぐこと、
そして身近な場所で話を聞くことはできます。
地域のみなさんに寄り添い
心と身体の健康を支えられる薬剤師でありたいと思います。
※出典:内閣府「男女間における暴力に関する調査(令和5年度)」