風のように毎日がひゅんひゅん過ぎる。

いくら連日の猛暑といえど
降り注ぐ日差しは和らぎはじめ
肌にふれる空気が秋の気配を含んでいる。







薄暗くした寝室で寝る前の授乳を終えた。
腕の中でやがて眠りについた次女の重みを
からだ全体で受け止める。

服のすそをつかんだままの小さな手を見つめ、
かすかに上下する背中の動きを眺める。

静かな空間。
エアコンの送風音と次女の寝息だけが聞こえる。
起こしてしまわないよう
暫く身じろぎもできずじっとしている。

ベビーベッドに寝かせるタイミングを
はかっているのだが、
次女の体の重みとあたたかな湿り気が
わたしにベッドへ移す決心をさせてくれない。

すぅ、すぅ、すぅ。
次女がたてるささやかな寝息に安堵してしまう。

もうすこしこのままでいようか。

くにゃりと力が抜けた次女を支えなおし
わたしの中でのなつみと次女、
について考えをめぐらせ始めた。





なつみにしてあげたかったことを
叶えてくれる次女の存在には
救われてるしとても感謝している。

だけど、

なつみにとらわれて
次女をなつみの代わりにしたくない。
次女は次女の人生を紡いでほしい。

次女のお世話にかまけて
なつみを忘れたくない。
なつみを疎かにしたくない。

顔だちに似たところはあれど
次女はなつみを継ぐものなどではなく
かといって、
次女がいてもなつみの何かは薄まらない。

そうだよね?
自分に問いかけ、イエスの返事を得る。

ぜんぶ鏡合わせだ。
たまにそうやって確認しないと
間違えそうでこわい。

なつみの面影を探してしまうし
次女で忙殺されてしまう時もあるから。







うちのかわいいふたり娘。
心をあたためる愛しい娘たち。

どっちも大事なのはほんとう。





同じ姿勢が続いたせいで
そろそろわたしのおしりも痛くなってきた。
よいしょ、と気合を入れて次女の体を抱え
ベビーベッドへずりずり近づき、

まぁるい体をそぉっとそぉっと
ベッドに横たわらせ、ベビーケットをかける。

んんん。
大きくひとつのびをして
次女はまた寝息をたてはじめた。





おやすみなさい。
どんな夢を見るのかな。
なつみお姉ちゃんは遊びにきてくれる?

もし来てくれたなら伝えて。
わたしの夢にもおいでよ、って。






次女のような子のことを
レインボーベビーと呼ぶこと、
先日はじめて知りました。