ある日の午後、
なつみの前に座り込んで語りかけていたら
ゆらり、ゆらゆら。
ポロン姉さんが揺れていた。
気のせいかな、と目を凝らす。
やっぱりかすかに揺れてるように見えた。
「にゃんつーなの?
にゃんつー、揺らしてる?」
窓から風が吹き込み、カーテンがはためく。
わたしの腕に風が当たった。
そっか、ポロン姉さんは風に揺れたのかな。
姉さんって…風で揺れるんだ?発見だ。
もしかしたら、
なつみがうちわで風を起こしたのかな。
よいしょー!よいしょーー!
そうだと楽しいな。
それ、いいなぁ。。。
それから数時間後。
わたしのもとにメッセージがひとつ届いた。
「昨夜、あのこがお空に行きました」
旅立ちのお知らせだった。
たくさんたくさん、がんばった
とても愛らしくて健気な男の子。
突然のお知らせに驚く。
はじめて会えた時のことを思い出す。
かわいいお顔、美しいくちびるの色、
お肌のさわり心地のよさ。
ママ特製の、
きみの全てが書かれたノートもあったね。
全部たからものだね。
パパとママがくれた気持ちはすべて
きみのものだよ。永遠に失われない。
両手いっぱいに抱えて
そのなかにお顔をうずめるとね、
柔らかくてとってもあったかいの。
心地いいでしょ。
ね?
ポロンちゃんを揺らしたのは
あの子だったのだろうか。
あの子はなつみと一緒に
ポロンちゃんと遊んでたのだろうか。
「命をまっとうする」
その言葉の重さと尊さを
わたしはなつみの人生を通して知った。
今また、かわいいあの子がまた教えてくれた。
神さま、あの子をよろしくね。
なつみ、仲良く遊んでね。