ヤァこんにちは。
ぼくの名前は、まだない。






なにがいいかな。



そもそも、ぼくが何者かって?
それって大事なことかい?







ふぅん。気になるのかい。







それならさ、いいよ。
きみが決めて。









ほら、ぼくはなぁに?

























ふむ。












きみはどうやら
迷ってるみたいだね。






きみがどんなふうにぼくを定義するのか
ぼくは楽しみに待ってるんだけどな。



















とり?









さかさまうさぎ?










たこ?










さば?













違う角度から見たい?

いいよ。
これでどう?


うん?輪ゴムがみえてる?






ははは。

きみの目って
ずいぶんとすみずみまで
よーく見えるんだね。






ぼくはさ、なんでもいいんだ。

ぼくを定義するのは、
ぼくを見てるきみ。








ぼくはタオルでできてる。
じゃあ、タオルくんってよぶかい?

または、綿でできてる。
じゃあ、コットンさんとでもよぶ?





そしたら、
ぼくはきみをなんて呼ぼうか。


たんぱくしつさん、とかかな。










なつみの母はね、たこさんのつもりで
今回のぼくを作ったんだって。


ほら、こうしたらそれっぽいかな。

そうでもない?




ぼくがたこなのかとりなのか
はたまたタオルなのか、
そんなのはね、どっちでもいいんだ。


なつみにとって大事なのは
ぼくが何であるかじゃない。



ぼくは、くまくんたちと
なつみのそばにいる。


それが役割。


ぼくに必要なのはそれだけ。





わかるかい?
大事なことがなんなのか。














くまくん
「んと、んと、んと…。ゴメン」



うさぎちゃん
「なっち、このこになんか言ってあげてよ」

なつみ
「はなのした、かゆいの」