成長したなぁ、と感じることが
いくつかあります。そのひとつは、、、


それは、

わたしの大好きなにおいが、
なつみの体から発する芳しいにおいが
消えてしまうこと。




いわゆる、赤ちゃんのにおいなのかな。
わたしが心底愛してる、すてきなにおい。




一歳のお誕生日を迎えるころから
どんどん、どんどん薄くなって

鼻をすんすんさせても、
だんだん、だんだん
わからなくなってきちゃって。











せつない。









お布団の中にあたまつっこむ勢いで
毎日すんすんして鼻から胸の中いっぱいにして
たまらない幸福感にひたってた
素晴らしき、なつみのにおい。







あぁ、名残惜しい。

でもこれは喜ぶべき成長の証。











でも、、、
あのにおい、あの幸福感にもうひたれない
と思うと、とても胸の中がさみしい。



この感じ、知ってる。
断乳したときの気持ちだ。


ひとつひとつずつ
なつみはわたしから離れて
ひとりの人間として確立していく。





きりっ。













ねぇ、ねぇ、なつみ、
あのにおい、してして。

すんすん、すんすん。
あのにおい、どこいったの?




なつみの体に自分の腕を沿わせ、
髪をなでていいこいいこしながら
わたしは話しかける。






なつみは素知らぬ顔で
きゅう、と喉を小さく鳴らして

わたしはにおいなんかに未練ないもん、
と言う。