昨日の午後は、栃木宅建協会による業務研修会に参加しました。
場所は、矢板イースタンホテル。
会場は椅子が足りないくらいの満席。
県の職員も来て、業法改正の説明もあったからでしょうか??
さて、メインは涼風法律事務所の熊谷弁護士による、重要事項説明の内容や判例をみながらの業者としての調査や説明義務の話し。その中でも今回は、物理的な瑕疵の他に心理的な瑕疵の説明に大きな時間が割かれていました。
「心理的な瑕疵」とは、売買の目的物に、その目的物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景等に起因する心理的欠陥がある場合をいうそうです。
たとえば、自殺や他殺のあった不動産物件。
事故物件というそうですが、、、こうした事故物件に関連する争議の一つの例として、大阪高裁の判例(H18.12.19(判タ1246-203))の説明がありました。
ここでの裁判所の判断は、土地上にかつて存在した建物内で殺人事件があったことは、売買契約の目的物である土地の瑕疵に該当する、でした。
売買は、平成16年。事件があったのは、平成8年。その土地上にその当時にあった建物内で。その後、殺人があった建物は取り壊されました。土地だけが残り、この売買の対象となったのです。それでも、その土地に住む人に残る「ここで殺人があった」という嫌悪感。そして、ここに将来住む通常一般の人が持つであろう嫌悪感。
この「心理的な瑕疵」ですが、裁判所の考え方の一つとして、「“通常一般人”がどう思うか」が基準になるそうです。その上で、いつまでその心理的瑕疵が続くかは、個々のシチュエーションや地理的な要因により「一律には決まらない」とのこと。
うむむ、、本当に難しい内容ですよね。
でも、明らかなことが2つ。
仲介業者として通常のヒアリングで知り得た情報は買主に伝えなければならないということ。
さらに、この買主への情報開示は売主の義務でもあるということ、です。
しかし、連日の殺人報道への見方が変わってきます。
あの現場も賃貸だったよな・・・と思うと、報道には決して出ない賃貸人への同情が・・・。
何よりも、被害者の恐怖、被害者の家族の悲しみと失望、怒りに、心が及びます。
それだけでなく、近隣の居住者やさまざまな多くの関係者にも物理的、心理的な被害が及ぶでしょう。
改めて、取り返しのつかない愚かな行為への怒りが込み上げてきます。