※この記事は未亡人の妄想小説です

 

前回↓

 

 

翔と別れた後。

 

私はいつも決まったカフェに寄る。

 

そこは夫と死別した後にできたカフェ。

 

だから夫はこの店を知らない。

 

夫の知らない店で

夫ではない人と過ごした後に

カフェオレを飲むのがいつものパターンだ。

 

 

翔と会った後はどうしても

まっすぐ家に帰る気はしない。

 

 

夫ではない人に抱かれた後に

夫との間に産まれた子供がいる家に

すぐ帰る気になれないのだ。

 

 

これは罪悪感なのだろうか。

 

 

夫と似た眼差しを持つ子供達の前で

女に戻った自分を見せたくない。

 

私は子供達の前では

「母親」でいなきゃいけないのだから。

 

 

だけど

 

母親だけの毎日を過ごすのは寂しい。

 

まだ44歳なのに。

独りは寂しい。

 

 

そんな時に翔と出会った。

もちろん偶然ではない。

いわゆるその道のプロに。

お願いしたのだ。

 

 

最初は緊張した。

だけどその緊張感すら久しぶりだった。

そんな脳内麻薬の感覚に

私は久しぶりに落ちたのだ。

 

 

でも頭の片隅では

「これはお金を払ってる対価」だと

どこか冷めた思いがある。

 

 

どんなに翔が疑似恋愛をしかけてきても

それはビジネスとしてだ、と

さすがに割り切っている。

 

 

いや

割り切らないといけない、と

思っているのだ。

 

 

そんな自分がたまに切なくなる。

 

私は何をしてるんだろうと

 

情けなくなってくる。

 

 

だから最近は

「これは夫なんだ」と

思うようになった。

 

そう思わないと心が壊れてしまいそうで。

 

夫が私を抱いている。

 

そう思えば「これ」は普通のことなのだ・・・。

 

 

 

最終話へ続く