いつものようにベランダから空を
眺めていたら
久しぶりに鳶が飛んでいた
ゆ〜ったりと、大きめの弧を描きながら
きょうは、二羽で飛んでいた
ずいぶん遠くで飛んでいたので
近くに来てくれないかなぁ
と思いながら、眺めていたら
ゆ〜ったりと弧を描きつつ、近づいて来た
わたしが、鳶をこの地に来てから
観るようになったのは
息子が、不登校になり
毎日、母子登校していた頃だった
教室に入れない息子と校庭で過ごして
いた時、頭上で一羽の鳶が
ゆ〜っくりと弧を描いて飛んでいた
鳶を観ていた間、学校にいる辛さや哀しさ
悔しさなどを忘れて
ただ、ぼんやり眺めていた
『 あの鳶、お父さんかなぁ 』
ふと、そんなことを感じると
鳶は、南の方へ行ってしまった
それから、数ヶ月おきに鳶を観る
なんとなく、心が軽くなったなぁ
そんな時期に、鳶と会っていたように思う
そして、鳶と会ったあとは
出逢いや再開があるように思う
たから、なんとなく鳶は、わたしにとっての
吉兆を表す鳥だなぁ、と思うようになった
きょう、久しぶりに鳶と会った
二羽だったからか
『 お父さんとお母さんかなぁ 』
と、ぼんやり眺めていたら
涙が止まらなくなった
涙が落ち着きはじめたら
南の方へ、鳶が行ってしまった
逢いに来てくれたのかなぁ
ただの偶然なのかなぁ
ほんとのことは分からないけど
鳶と会えて、わたしは嬉しかった