最近、県庁関係者からも獣医学科の入学者が関東に偏っていると話を聞いた。

 

 何か、そのことが分かるデータがないか確認したら、平成30年に農水省がまとめたデータに出身地別の卒業生の数が出ていた。

 なんと平成29年3月卒業生は、山梨県、秋田県出身の人はおらず、逆に100人以上の卒業生を出したのは東京都だけであった。

 そして、50人~100人の卒業生を生んだのは、大阪府、愛知県、神奈川県、埼玉県、千葉県だけで、あとは、どの県も50人以下である。

 その資料には、就職先の県も載っており、100人以上は都内に就職し、北海道も多く、宮城県と北海道を除いては、ほとんどの県で、出身者より少ない数しか、獣医師が出身県に就職していないと載っていた。

 

 これだけ、首都圏に卒業生が偏在してしまうと、地方は苦戦してしまうのは当然ではある。

 東京都と地方の大学進学率をみても、かなりな差があり、そもそもが、獣医師になろうと大学に行く素地が、地方と東京とでは違うのかもしれない。

 

 うちの子2人が卒業した都内の高校は、2人つとも大学進学率はほぼ100%で、下の子の同級生は少なくとも複数人獣医学科に進学した。

 これでは、なかなか、獣医師を地方で確保するのは大変になるのではと思う。

 

 そして、平成29年度の獣医師の就職先で、13ほどの県で4人以下となっており、恐らく県庁などの公務員獣医師になった人数が0人の県もあったのではと思う。

 

 そんな事もあり、獣医師の修学支援金制度を用意して、人を呼ぼうと各県とも躍起だが、厚労省のある幹部に聞いた話では、医師の地域枠、奉公の期間が終れば半数は都市部の病院に出て行ってしまうと話していた。

 地域枠が無かった時代は、ほぼ全数が地方国立大の医学部を卒業しそのまま都心へ出てしまっていた状況からすると、改善したと言っていたが、地域の医師を養成する機関が、都心の学生の草刈り場になってしまっている状況は、まだまだ続いている感じであり、獣医師もそうなっていくのかもしれない。

 

 農水省がまとめた、卒業生の出身地別の数、岡山理科大ができた後の更新版ができないか期待している。

 各県庁の人からは、獣医師確保は「ぼやき」しか聞こえてこない。

 

 転勤族だったので、個人的には本社勤務より地方勤務の方が生き生き仕事ができた気はする。

 ただ、もう東京で20年ぐらい留まってしまい、定年したら数年で良いので地方で暮らしてみたいと最近感じている。