子供の同級生で、少しだけだが子供自身は医学の道を希望しながら、親が婚期を逃すことを理由に納得しなかった家庭があった。

 

 どちらが正しいとも言えないと思う。

 親はお金を出す立場、ある程度、意向を伝える自由は当然ある。

 

 子供は進路選択は自由だが、当然ながら、国公立と言えども学費は親から出してもらわなければいけない。

 綺麗な考え方であれば、子供の夢を叶えるのは親の務めであり、黙って学費を出してあげれば良いとは思う。

 

 しかし、親として、孫の顔を見たいとの希望を全く無視して良いのか、無条件に学費を出す義務があるのかと言えば、それも強制はできない。

 

 結局のところ、どこかで折り合いを付けなければいけない。

 今、平均結婚年齢は、男性が30.7歳、女性が29.1歳(2021年)となっていおり、まぁ、世の中は、30歳前後で結婚するようである。

 

 そして、非婚化が進んだとは言え、全体で生涯未婚率は、男性で3割弱、女性で2割弱と言った感じで、医師に関しては、男性は結婚しない人は2%を切るが、女性は全体と大きな差がなく15%ほどらしい。

 

 さらに初婚年齢は、男性医師の場合、約30歳で全体平均と差が無いのに対し、女性の場合は35歳近くになり、5歳ほど遅くなる。

 保護者は、経験則的に婚期が遅くなると感じているのは、まんざら間違いではない。

 そして、結婚相手は男性の場合、医師同士が15%ほどらしいが、女性の場合、実に7割が医師同士らしい。

 

 女性医師の医師以外の夫は、結婚紹介所やお見合いで知り合った方が今でも多いようで、女性医師の結婚事情、かなり厳しいようであり、それが保護者の意向に現れるのだろうと思う。

 

 実際には、医学部を諦め薬学部や獣医学部に進んだ生徒もいたようで、最終的には東大の理系などに進んだようである。

 結婚して出産するのが当然ながら全てではないが、親として言葉には出さないが成人すれば、期待する親も多いだろう。

 

 また、結婚して遺伝子を残して欲しいと考えるのは、生物的な本能かもしれない。

 某有名女子高の同窓会で、手に入らなかったのは「夫」だけだった、でも、それが大きいと話題になる事があるらしい。

 

 人間は、保育期間が他の動物に比べ長く、医師としてのキャリア形成には、出産育児という期間は確かに短いとは言えないほどの期間ではある。

 動物的に生むだけなら、数カ月で済むかもしれないが、生めば母性から手元での育児をしたくなり、結局は事務職などでも1年間は仕事を休む人が多いし、最初は早く仕事に復帰すると言っていたが、生まれた子供をみて、育休を2年取った社員もいたりしたこともあった。

 その場になって考えが変わる社員も何人もみてきた。

 事務職でも妊娠期からの勤務制限、育児中の勤務制限終了まで4~5年を要する人もいたりして、しだいにキャリアを求めなくなる社員も相当数でてきてしまっているのが現状である。

 女性は育児というより、仕事より育児の方が自分の中でウエイトが大きくなり、子供の成長の方が楽しみになってくるのではないかと思う。

 

 婚期を逃すことを理由に、子供の夢を断念させるご家庭があるのには驚いたが、それぞれのご家庭の考えがあるので否定はできない。

 女性にとって、結婚出産が全てではないが、やはり、職業選択やキャリア形成では、大きなウエイトを占めているのは間違いないと思う。

 そして、結婚できるかは、究極は本人の意向、相手があって、さらに気持ちが一緒になれるかなど、簡単ではない一面がある。

 そういえば、知り合いの女性医師、もういい年だが結婚はしていないようである。

 

 そう、口には出さないが、つい「もういい年」と思ってしまう、古い考えかもしれない。