医師になるには、基本的に医学部を出なければいけない。

 そして、最後に医師国家試験があるのだが、獣医学部も同じように獣医師国家試験を経て獣医師になる。

 

 しかし、医師と獣医師では大学などで決定的な差がある。

 それは、大学の数の差である。

 

 医学科がある大学は、国立が42、公立が8、私立が31の合計81大学あり、定員も約1万人ほどと多い。

 これだけの規模になると専門的な予備校もあり、そこそこの産業規模にもなる。

 

 専門予備校なども充実しており、医専と言われる予備校が全寮制を取るなど、掛けられるお金は果てしない。

 

 それでは、獣医学部はどうかと言えば、国立10、公立1、私立6しかなく、定員も1000人ほどとその規模も小さい。

 そして、あまりにもマーケットが小さいため、専門予備校も少なく、医学部を目指す医専に獣医受験科が併設されている予備校もあり、そもそも、通塾で学生を集められるほどの受験者層がいないので、かなり情報収集に苦戦するのである。

 

 実際に獣医学部を目指している学生は、浪人生を含め3000人~4000人ほどではないかとみられるが、その受験生規模で専門予備校が成立するのは、東京と大阪ぐらいだろうと思う。

 

 そして、医学部の場合は、国公立1校を前期で受け、私立を10校近く併願する学生もいるらしいのだが、獣医学部の場合、私立は6校しかないので、最大6校しか受けられない。

 

 受験方式が違うパターンを受けて、最大で前期日程は酪農大1回(のべ2)、岡山理科大3回(のべ5)、麻布大2回、北里大1回、日大2回、日本獣医大2回となる。

 

 募集枠が大きい前期一般は、日程調整を行い受験日が被らないように調整がされているが、日大N方式や岡山理科大前期後半などは日程が被ることがあり、結局、受験回数は一般は6回程度が最大となる。

 

 医学部と獣医学部、難易度はもちろん差はあるのだが、情報量や受験校数でも大きな差があり、また、浪人生も獣医学部の場合は5浪とかはほとんどいない。

 こういった面では、獣医学部の受験は、医学部受験とは違った難しさがあり、1浪で諦めるのか、2浪で諦めるのか、3浪へ突入するのか、医学部以上に浪人回数の判断も難しい気がするのである。

 

 ただ、他学部に比べ浪人生の割合は段違いに高く、1浪ぐらいは当たり前だし、そもそも1浪前提での学生もいるらしい。

 ちなみに、受験料は医学部よりは安く、1選考3万5千円が相場で、その辺りは医学部に比べ負担は少ない。

 

 この前、YouTubeで医学部多浪生のあるあるで、4月気合を入れてスタートし、9月模試で2月の学力到達水準が分かってしまい入試を超えられるかが判断できると言っていたのをみて、ある意味衝撃的だった。

 

 明らかに届かないと11月ごろ、確実にダメなのを確認して遊んでしまい、もう1浪重ねるらしい。

 極端な、ダメな多浪かもしれないが、獣医学部の場合、そんな多浪は恐らくいないし、医学部よりは求められる学力が少し低めなので、そんな早々とは諦める学生はいないと思う。

 

 ただ、いずれにしても他学部にはない闇な部分ではある。

 多くの情報をみていて、現役で補欠がもらえれば、まじめに浪人すれば次年度は合格できるし、現役でD判定まで行っていれば真面目に浪人すれば合格圏に来るようである。

 

 そういった意味では、最悪2浪もあるかなと思っている獣医学科志望の学生、1浪でD判定や補欠が来ていなければ、2浪の結果は厳しいと言えるのかもしれない。

 

 浪人生は、一連の成績開示が終ったはずで、上位20%付近にいれば、自分を信じて8カ月後を目指し頑張って欲しいものである。

 そして、うちの子もそうだったが、同じ道を目指す高校や予備校の友達、実は、これが大きなキーになっている気がした。

 

 子供の高校は複数人獣医学科に進んだので、子供自身、6年後に免許をお互い取って6年間の話を聞くのを楽しみにしているようである。

 やはり、友達は大きな財産であると思う。